

サッカーJ2に挑むいわきFCに新加入するMF加瀬直輝(22)、DF河村匠(22)両選手は、第二の古里と位置づける福島県でプロとしての一歩を踏み出す。2人は尚志高(郡山市)でともに練習に励んだ同級生。福島県の復興に貢献したいと強い思いを胸にシーズンに向かう。22日、いわき市のスパリゾートハワイアンズで新体制発表会が開かれ、監督、選手がJ2優勝を誓った。
加瀬選手は小学生のころ、高校サッカーを特集したDVDなどを見て尚志高を知った。東日本大震災の被災地をサッカーで勇気づけようと戦う姿に心を動かされた。小学校の卒業文集に「尚志高に入ってプロになる」とつづった夢を、スポーツの力で復興を後押ししようと誕生した、いわきFCで実現させた。
身長167センチと小柄ながら、流通経済大時代は速さを生かしたドリブルを武器にサイドハーフとして活躍した。「福島の人から『お帰り』と声をかけてもらった。体を鍛え、プレーで元気を届けたい」と意気込んだ。
河村選手は、積極的な攻撃参加が持ち味のサイドバック。中心選手として活躍し昨季終了後に移籍した日高大選手(27)の後を引き継ぐ選手として期待も大きい。「早く実力を認めてもらえるよう運動量やスピードを磨く」と気を引き締める。
サッカーを始めるきっかけをくれた兄が腰を痛め、裏方に回った姿が記憶に刻まれている。「自分は何不自由なくサッカーができている。絶対プロを目指す」と覚悟を決めた。尚志高、大阪体育大で技術を磨き、加入が決まった。
両選手はともに千葉県出身で、尚志高3年の時、全国高校サッカー選手権大会で過去最高の3位に入った。同級生のJ2モンテディオ山形のDF吉田泰授選手(22)=郡山市出身=、J3Y.S.C.C.横浜のDF沼田皇海選手(22)も今季プロ選手になった。河村選手は「尚志高出身者として県民の大きな期待を感じる。現状に満足せず成長し、J2で躍進する」と力強く誓った。
■走り勝つサッカー進化へ
新体制発表会には多くのサポーターが集まった。村主博正監督(46)は、今季のチームスローガン「容赦なく、挑み続けろ」の下、走り勝つサッカーをさらに進化させる考えを強調した。
前所属が大学チームだった選手が多く、チーム全体の平均年齢は22・9歳と昨季より1歳ほど若返った。村主監督は2月18日の開幕戦に向け、「走り続け、(足が)止まらない選手を起用する」と力を込めた。
新たなユニホーム姿で臨んだ選手も決意を語った。昨季に引き続いてキャプテンを務めるMF山下優人選手(26)は若手とコミュニケーションを積極的に取り、チームをまとめ上げる役割を自身に課すと表明。続いて、新加入選手13人が、J2での活躍を誓った。
チームを運営する、いわきスポーツクラブの大倉智社長(53)は、今季の目標平均観客数を昨季の2121人から約1400人多い3500人に設定したと明かし、「サッカーやスポーツを通じ、浜通りや県内の復興を推進する」と語った。
【いわきFC 全選手】
GK田中 謙吾 33AC長野パルセイロ
GK高木和 徹 27東京ヴェルディ ★
GK鹿野 修平 23流通経済大
DF石田 侑資 20ガイナーレ鳥取 ★
DF遠藤 凌 24アルビレックス新潟
DF家泉 怜依 23流通経済大
DF速水 修平 22常葉大 ★
DF河村 匠 22大阪体育大 ★
DF辻岡 佑真 21環太平洋大 ★
DF黒宮 渉 24作新学院大
DF江川 慶城 22京都サンガF.C.
MF宮本 英治 24国士舘大
MF杉山 伶央 22作新学院大
MF嵯峨 理久 24仙台大
MF鏑木 瑞生 22拓殖大 ★
MF山口 大輝 25流通経済大
MF加瀬 直輝 22流通経済大 ★
MF谷村 海那 24国士舘大
MF永井 颯太 23流通経済大
MF加藤 悠馬 21拓殖大 ★
MF山下 優人 26桐蔭横浜大
MF芳賀 日陽 22作新学院大 ★
MF宮崎 幾笑 24ファジアーノ岡山 ★
MF下田 栄祐 18鹿島アントラーズ ★
FW近藤 慶一 20名古屋学院大 ★
FW有馬幸太郎 22栃木SC
FW有田 稜 23国士舘大
FW吉沢 柊 24作新学院大
FW岩渕 弘人 25仙台大
FW坂元一渚璃 18報徳学園高 ★
※左からポジション、氏名、年齢、前所属(内定含む)。★は新加入