
いわきFCが福島県内から初参戦する明治安田生命サッカーJ2の開幕が、1週間後に迫る。18日のホーム開幕戦に向け、地元いわき市ではサポーターの応援体制づくりや、敵地からのアウェー客受け入れ準備が急ピッチで進む。新戦力を加えたチームもJ2仕様の戦術浸透を急ぐ。強豪ひしめく新たな戦いの舞台に一丸で挑む地域とチームの熱気を伝える。
18日にいわき市のいわきグリーンフィールドで行われる開幕戦のチケットは、好調な売れ行きを見せている。いわきFCを運営するいわきスポーツクラブによると、入場者数は昨季のホーム開幕戦の2743人を超えるのが確実という。J2初戦を満員(5030席)で迎える期待が膨らむ。担当者は「盛り上がりを感じる。前売り券が完売し、当日券に回す分がなくなる可能性もある」と手応えを語る。
J2昇格は新たなファンの獲得につながっている。昨年1年間で約1500人が入会した有料ファンクラブには、今年の1、2月で既に1400人が加入した。1月下旬に発売したレプリカユニホームは即完売。クラブと共同イベントなどを実施できるビジネスパートナーには市内の宿泊や飲食、自動車業界の企業が加わり、多種多様な業種に応援の輪が広がっている。
開幕に向け、クラブとサポーターは連携を強化する。6日夕、いわき市常磐上湯長谷町のいわきFCパークで、サポーター有志とクラブ側がホーム戦での応援体制や会場運営について話し合った。
今季のJ2には、J1優勝経験があるジュビロ磐田など熱狂的なファンを抱えるクラブが所属する。約3年ぶりに全席で声出し応援が解禁され、応援合戦も白熱する。サポーターを先導する「コールリーダー」の会田陸人さん(19)=いわき市在住=は「相手の応援に押されないよう、初めて来る人も参加しやすい応援を心がけたい」と意気込む。
今年1月、動画投稿サイト「ユーチューブ」で選手個人とチームを鼓舞する「チャント」と呼ばれる応援歌を公開した。全43曲のうち、28曲は有志が新たに作った。子どもからお年寄りまで幅広い世代が歌えるよう、誰もが聞いたことがある海外の民謡や1980年代のポップスをアレンジしたという。開幕戦の観客席で歌詞カードを配る予定だ。動画を作ったパフォーマー横田圭祐さん(37)=同=は「動画で予習し、会場で一緒に歌ってほしい」と呼びかける。
サッカーを通じた地域貢献を強化するため、いわきFCは1月、「地域推進部」を新設した。クラブの要請を受け、市の観光交流室長を務めた小野広澄さん(61)がマネジャーに就任。今後、経済団体や行政と連携してイベントを企画し、新たなファン獲得につなげる。小野さんは「双葉郡を含むホームタウン全域でファンを増やし、子どもや高齢者にも試合に足を運んでもらえるようにしたい」と先を見据えた。