福島県内への関心「廃炉作業」が2年連続最多 処理水放出は賛否拮抗 震災・原発事故12年 全国16地方紙共同アンケート

2023/03/01 09:10

  • Facebookで共有
  • Twitterで共有
廃炉作業が進められている東京電力福島第1原発。敷地内には処理水の貯蔵タンクが立ち並ぶ=2023年2月21日撮影
廃炉作業が進められている東京電力福島第1原発。敷地内には処理水の貯蔵タンクが立ち並ぶ=2023年2月21日撮影

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の発生から丸12年となるのを前に、福島民報「あなたとともに 福島特命取材班」など地方紙16媒体が実施したインターネット共同アンケートの回答結果がまとまった。福島県について関心があることを尋ねた質問(複数回答)では「原発事故の廃炉作業」が31・2%(前年比11・8ポイント減)で、2年連続で最も多かった。福島第1原発の処理水の海洋放出の受け止めは、賛否が拮抗(きっこう)している。

 福島県の現状への関心事を聞いた質問は最多の「廃炉作業」の他、「地震、津波からの生活の復興状況」28・0%(前年比4・7ポイント増)、「避難区域の現状」15・0%(2・6ポイント増)の順で多かった。

 処理水を今年春から夏ごろに海洋放出する政府方針を巡っては、「できればやめてほしい」「反対」は計48・4%だった。「賛成」「やむを得ない」の合計は45・2%だった。

 原発政策の在り方については3年続けての質問。「積極的に廃炉とし、脱原発を急ぐべきだ」が27・7%(前年比7・7ポイント減)で最多だった。原発活用を容認する回答は合わせて56・6%(同10・6ポイント増)となり、初めて半数を超えた。電気料金の高騰など足元の生活不安が広がり、「今の光熱費が高すぎる」などロシアのウクライナ侵攻に伴う世界的なエネルギー価格の高騰を不安視する声が目立った。

 一方で、地震や有事の際にリスクが高まる原発への懸念も根強く、生活への不安と政策への不信がにじんだ。原発活用に反対や慎重な姿勢の立場から「廃炉を積極的に進め、脱原発を急ぐべきだ」「福島の問題が解決していないのに原発推進は反対。節電策を強めるべきだ」「(運転期間が)60年、80年となし崩しで延長されそうで良くない」などの意見が寄せられた。

 東日本大震災にどの程度関心を持っているかを3年続けて6段階で尋ねた。最も関心度が高い「6」は30・5%で前年とほぼ同数だが、一昨年の52・9%と比べて低下傾向にある。津波犠牲者らの十三回忌を迎える被災地での心の復興については「進んだ」「それなりに進んだ」と認識している人は計28・8%にとどまった。


※アンケート実施方法=オンデマンド調査報道(JOD)パートナーシップの加盟社が2021(令和3)年から取り組んでいる協働企画「#311jp」の一環。今年は加盟の福島民報など地方紙16媒体が連携し、無料通信アプリLINE(ライン)や紙面で呼びかけた。2月1~14日に45都道府県と海外から計3230件の回答があった。アンケートは多様な意見を聞き取るのを目的とし、無作為抽出で民意を把握する世論調査とは異なる。