
東京電力福島第1原発事故に伴う帰還困難区域のうち福島県浪江町の特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示が31日に解除されることを受け、町から避難し、いわき市四倉町に大堀相馬焼「陶吉郎窯」を構える近藤学さん(69)は、帰還への決意を新たにしている。近藤さんは町内にあった自身の窯元を再建し、来春をめどに工房を再開したい考えだ。
解除される区域には、国指定伝統的工芸品「大堀相馬焼」の窯元も含まれている。近藤家は江戸時代から代々続く窯元で、学さんは長男賢さん(42)とともに原発事故発生後の2011(平成23)年、市内江畑町に仮工房を構えた。2018年に四倉町に登り窯を作り、作陶活動を続けている。
当面、学さんはいわき市から浪江町に通いながら、かつて自身の工房と窯があった場所に新築するという。再建費用は県の補助制度などを活用し、町と連携しながら販路拡大を図る。「浪江で作ってこそ大堀相馬焼を名乗ることができると考えている。容易ではないが、伝統工芸を継承する第一歩になれば」と話している。
学さんによると、震災前に町内に20数軒あった窯元のうち、現在、県内外で14軒が活動しているという。