
東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の発生から11日で12年となった。福島県民は各地で鎮魂の祈りをささげ、犠牲者の霊を弔った。福島県主催の追悼復興祈念式は福島市のパルセいいざかで行われ、参列者が未曽有の複合災害の記憶と教訓を末永く語り継ぎ、希望あふれる新たな福島をつくり上げるとの決意を共有した。
祈念式では「若者のことば」として、未来を担う高校生が登壇した。いずれも会津高2年の林文子さん(17)、渡辺隼太朗さん(17)、高橋桜さん(17)が、県内は復興が進む一方で、時が止まったままの被災地がある現状を自身の経験を踏まえながら訴え、事実や学びを次代に伝え続けていく覚悟を披露した。
献唱として、安積黎明高合唱団の16人が歌声を響かせた。
昨年に続き、岸田文雄首相が参列した。追悼の辞で「震災による大きな犠牲の下に得られた貴重な教訓を決して風化させることなく後世に継承し、災害に強い国づくりを進めることは、われわれの責務だ」と述べた。原子力災害からの復興には中長期的な対応が必要との考えを強調した。
内堀雅雄知事は式辞で、「『被災の地』『原発事故の地』と定義づけられた福島を『希望の地ふくしま』『復興の地ふくしま』に変えていくため全力で挑戦を続け、必ずや復興を成し遂げる」と誓った。渡辺義信県議会議長が追悼の辞をささげた。
遺族を代表し、津波で両親を亡くした南相馬市の宮口公一さん(65)が震災の教訓を忘れず、防災意識を向上させることの大切さを訴えた。
地震発生時刻の午後2時46分に黙とうし、首相や内堀知事らが献花した。
新型コロナウイルス感染防止対策を講じた上で4年ぶりに県外の来賓も招き、一般来場者を除いてコロナ禍前と同規模となる約330人が出席した。政府からは首相の他、西村康稔経済産業相らが臨んだ。15カ国の駐日大使らも訪れた。福島民報社から芳見弘一社長が列席した。
これまで会場としてきた福島市のとうほう・みんなの文化センター(県文化センター)が昨年3月の本県沖地震で被災したため、今回はパルセいいざかで催した。
県内各地でも県民が犠牲者を悼む一日となった。大熊町では町民有志による追悼イベントが催され、町役場本庁舎前に2023羽の折り鶴を飾った。会津若松市にある町の義務教育学校「学び舎(や) ゆめの森」に通う子どもらが復興への願いを込めたメッセージを記し、地震発生時刻に黙とうした。