


バレーボールのVリーグに福島県郡山市出身の「3姉妹プレーヤー」が今春誕生し、飛躍を誓っている。日体大を先月卒業した目黒愛梨(あいり)さん(22)は2部(V2)の群馬銀行グリーンウイングスに入団した。長姉の優佳(ゆうか)さん(27)と次姉の安希(あき)さん(24)は1部(V1)のチームで活躍中だ。群馬銀行はV1昇格を目指し、8、9の両日の入れ替え戦に臨む。愛梨さんは「来季は2人の姉と同じ舞台で戦いたい」と決意を新たにする。
◆ ◆
3姉妹はいずれも行徳小、郡山二中、郡山女子大付高を卒業した。優佳さんはJTマーヴェラスで主将を務め、今季の女子日本代表候補選手40人の1人に選ばれた。安希さんは埼玉上尾メディックスに所属する。
愛梨さんは小学4年生の頃、両親に連れられて観戦した地元スポ少の試合で、同級生が2学年上の安希さんらと勝利のために全力でプレーする姿に刺激を受けた。それまで習っていた水泳を辞め、5年生でスポ少に入団した。
優佳さんと安希さんを常に目標にしていた。全日本高校選手権大会(春高バレー)に主力で出場した2人の知名度は高かった。高校に入学すると〝目黒3姉妹〟の3人目として注目された。重圧はあったが、「姉2人は真面目に取り組んだからこそ、結果を出せた」と自らに言い聞かせ、ひたむきに背中を追った。
佐藤浩明監督(54)の指導を受け、フェイントをかけたスパイクやブロックなど多彩な攻撃を習得。3年時の2019年はエースとして春高に挑み、初戦突破に大きく貢献した。
進学した日体大での競技生活は、輝かしいものではなかった。部員数が多く、先発メンバー争いは熾烈(しれつ)を極めた。2年生までは出場機会に恵まれなかった。苦しい日々が続いたが、筋力トレーニングで上半身を鍛えるなど、地道に練習と向き合った。
原動力となったのは、悩みをいつも聞いてくれたチームの仲間や家族の存在だった。「支えてくれた人にとって自慢の選手になりたい」。鍛錬の成果は3年生から徐々に現れ、先発出場の頻度が増え始めた。
大学卒業を前に、周りの同級生はスカウトなどでプロチームへの内定が次々と決まった。焦りを感じつつ、自らの進路に思いを巡らせた。「まだまだ大好きなバレーをやりたい」。昨年8月末に群馬銀行のトライアウトを受け、入団を勝ち取った。次年度の内定選手はVリーグに出場できる。2022―23シーズンは1月14日のデビュー戦を皮切りにミドルブロッカーで9試合に起用された。
チームはV2で2位に入り、V1下位とV2上位の各2チームによる入れ替え戦の出場権を得た。愛梨さんは持ち味の力強いスパイクと仲間を鼓舞する声かけで、チームをもり立てる覚悟だ。V1の舞台を目指し、「強い気持ちをプレーで表現したい」と必勝を期している。
■長姉・優佳さん(1部JT)次姉・安希さん(1部埼玉上尾) 妹との対戦 心待ち 末っ子にエール「自分らしく」
2人の姉は愛梨さんとの対戦を心待ちにする。リベロの優佳さんは末っ子の強みを「バレーに対する熱や、仲間、他人への思いやりがあるところ」と評する。明るい性格を生かし、チームを一層盛り上げてほしいと願う。チームの主将を務める自身は「応援してくれる人に少しでも良い報告ができるよう頑張る」と向上心をのぞかせる。
アウトサイドヒッターを担う安希さんは「リーグでの経験が愛梨を強くしてくれるはず。自分らしく真っ直ぐに突き進んでほしい」と妹へエールを送る。「古里に恩返しができるよう精一杯努力したい」と自分も負けないつもりだ。