
福島県浪江町とイオン東北(本社・秋田市)は5日、東京電力福島第1原発事故に伴う帰還困難区域のうち、避難指示が解除された町内津島地区の特定復興再生拠点区域(復興拠点)で移動販売を始めた。地区内にはスーパーや飲食店がなく、買い物環境の向上に向けた一歩となった。初日から多くの住民らが利用した。
イオン東北は昨年6月に結んだ協定に基づき、双葉、浪江両町でトヨタ自動車の水素燃料電池車(FCV)を活用した移動販売を展開している。津島地区はスーパーがある浪江町中心部から約20キロ離れているため、住民の利便性を高めようと避難指示解除に合わせて移動販売エリアを拡大した。
つしま活性化センターに車を止め、野菜や弁当、生活用品など約500品目を並べた。センターに隣接する町営住宅に入居予定の介護福祉士国分晶子さん(71)=相馬市=はティッシュやトイレットペーパーを買い求め、「近くに買い物ができる場所ができてありがたい。これから帰還する住民にとっても助けになる」と話した。
販売を担当したイオン浪江店の石沢敏子さん(55)は津島地区の出身で、高校卒業までの18年間を過ごした。慣れ親しんだ古里で住民と接し、「津島に人が戻って住めるようになったのは本当にうれしい。店員として少しでも住民の力になり、地域の活性化に貢献していきたい」と決意を新たにした。
津島地区での販売は、つしま活性化センターで毎週水曜日の午前10時40分から同11時10分まで実施する。