論説

【いわきとエフレイ】連携強め産業振興を(4月25日)

2023/04/25 09:23

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 いわき市は今年度、福島国際研究教育機構(F―REI、エフレイ)との連携協力の基本合意に基づき、円滑で実効性のある取り組みを展開するための専門職員2人を配置した。教育と技術開発分野で支え合う態勢を早期に構築して高度な専門人材の地元定着につなげ、新たな産業基盤を創出する必要がある。

 専門職員は総合政策部内に学術担当、産業振興部内に産業担当を配した。学術担当は基本合意第1号となった福島高専の試みを後押しするとともに、エフレイに対して小中高校生の学びの場を設けるよう働きかける。研究成果への理解を深める機会は研究者を目指す人材育成につながる。市内の東日本国際大、医療創生大の学生が技術者やエフレイ職員を志す道を開くため、全国の工業系大学で必要な知識を学べる単位互換の仕組みづくりも検討してほしい。

 エフレイは今後7年間の中期計画に26の研究開発項目を掲げている。水素を使うドローン実証機体の設計、廃炉向け遠隔技術の高度化、再生可能エネルギーの技術開発など多岐に及ぶ。産業担当は、技術力や得意分野に応じて研究に対応できる市内の企業を洗い出し、製品化された場合の受注などに備える。技術力を売り込む機会を積極的に設けて企業と研究者を結び付け、共同開発などにも発展させてもらいたい。

 いわき市は浪江町に本拠地を置くエフレイから約50キロの距離にあり、国際会議の誘致や研究者の居住、観光誘客増などが期待されている。こうした波及効果の具現化に向け、市は商業、医療、教育、観光資源などの優位性を前面に出した促進策を部局横断で練るとしている。交流人口拡大の観点から浜通りの各市町村と連携して魅力を発信すべきだろう。

 市内では高等教育機関、いわき商工会議所、市などが昨年7月に協議会を設けるなど連携に向けた機運が盛り上がっている。ただ、市内の企業が開発や製品化に貢献できる技術を提案しようとしても、エフレイの研究内容がはっきりせず、具体的な取り組みは乏しいのが実情だ。ドローン開発であれば使用条件や飛行時間、速度などというように中期計画をより明確にした研究内容を早急に示すよう求めたい。(円谷真路)