

バスケットボール男子Bリーグ2部東地区の福島ファイヤーボンズを今季限りで退団するヘッドコーチ(HC)の佐野公俊氏(40)と主将の村上慎也(32)は、福島民報社の取材に在籍期間の思い出を振り返った。チームを発足初期から支え続けた2人は「これからもボンズに熱い声援を送ってほしい」とファンへ呼びかけた。
■佐野HC「ファンに感謝」
―今の心境は。
「ホームでプレーオフ(PO)を戦えず、B1昇格も逃し、悔しさが残る。ただ、シーズンを通して選手は最後まで粘り強く戦ってくれた。2年連続でPOに進出できたのはクラブとして来季につながる」
―発足2年目からアシスタントコーチ(AC)として携わった。
「最初は資金力がなく、B1ライセンスを取得できないなど苦しい時期もあった。他クラブと比べ選手を集められない中、今いるメンバーで一生懸命やるのがボンズの強みだった。なんとか勝とうと試行錯誤した日々は、面白かった」
―8年間で印象に残っていることは。
「もがいた発足初期と、HCとして率いた最後の1年が脳裏に浮かぶ。指揮官として選手が戦いやすい環境をつくれず、力不足も感じた。シーズン開始からHCを務めるのは初めてで勉強になった」
―県民への思いを。
「今季は声援も徐々に戻り、声の力を感じた。劣勢でも追い上げる原動力になった。応援してくれたファンに感謝している。どんな形か分からないが、機会があれば福島に戻ってきたい。これからもボンズに変わらない声援をお願いしたい」
■村上「離れるのは寂しい」
―唯一、発足当初から継続して在籍した。
「9年間プレーしていただけに離れるのは実感が湧かず、寂しい。発足当初は練習環境が整わず、大変さも感じた。徐々にクラブが大きくなり、福島に根付いていくようでうれしかった」
―9年間で印象深い出来事は。
「昨季のプレーオフ準々決勝の仙台戦で、敵地にもかかわらず会場の一部がチームカラーの紫になった光景は忘れられない。今季は3月11日にホーム戦の会場を満員にできた。福島にとって特別な日に皆さんの思いを背負って戦えたのは、かけがえのない思い出だ」
―交流サイト(SNS)で退団を惜しむファンの投稿が続いている。
「自分も読んだ。『村上のいないボンズは寂しい』と言ってくれる人もいてありがたい。ブースター(ファン)ありきの僕なんだと実感した」
―県民にメッセージを。
「皆さんの支えがあってこそプレーできた。どこへ行くかは分からないが、引き続き応援をお願いしたい。ボンズに新加入する選手も福島のために頑張ってくれるはず。全力で声援を送ってもらいたい。敵として自分が福島と戦う日が来れば、ブーイングしてほしい」
■退団選手らへメッセージ募集
ボンズを運営する福島スポーツエンタテインメントは25日から、退団する選手らへのメッセージを募る。
郡山市のモルティ1階では6月15日まで、カードにメッセージを記入するブースを設ける。同社事務局への送付も受け付けている。同日必着で、用紙の大きさや送り先などは同社ホームページから確認できる。
メッセージは事務局を通し、選手らに届けられる。