
福島県の内堀雅雄知事は8日、東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出方針について、国内外の理解醸成に向けた対策を徹底するよう政府に改めて要望した。政府が夏ごろとする放出開始時期が間近に迫る中、漁業者を中心に新たな風評発生への懸念が根強い現状を踏まえ、国が前面に立って対応するようくぎを刺した形だ。
内堀知事が関係省庁などを回り、関係閣僚や与野党国会議員に直接訴えた。このうち経済産業省では西村康稔経産相と会談した。冒頭を除き非公開で、内堀知事が要望活動終了後に報道陣の取材に答えた。
内堀知事は処理水の問題について、特に正確な情報発信と国内外の理解醸成、漁業者の懸念している風評への万全な対策を求めたと明らかにした。「関係者の理解醸成を強調するのは風評払拭の一番の本質だからだ。漁業者と信頼関係をつくり、IAEA(国際原子力機関)のような客観的立場の評価を国民や世界に分かりやすく発信することが重要」と説明した。
東京電力が汚染水を処理水に転換する浄化処理をトラブルなく確実に実施することが信頼構築に必要だとも指摘した。
内堀知事によると、西村氏はIAEAが取りまとめる処理水の海洋放出計画の検証結果を基に国内外の理解醸成に力を入れたいと述べた。東京電力に対してはミスやトラブルなく着実に作業を実行するよう指導しているとの回答があったという。