東日本大震災・原発事故

東電が追加賠償の書類、7月中旬にも発送再開 簡易書留で請求書送付 DMは廃止

2023/06/23 10:05

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 東京電力福島第1原発事故の追加賠償の書類の発送が滞っている問題で、東電は22日、案内のためのダイレクトメール(DM)を取りやめ、全て請求書に切り替えるなどして7月中旬以降に発送を再開すると発表した。書類の誤送付の発覚を受け、送付手順の見直しやチェック体制を強化するほか、普通郵便から簡易書留での送付に変更する。対象者によっては手続きが当初予定より1カ月半以上ずれこむことになるが、東電は「より安全な方法で送るための準備が必要」と説明している。福島県は変更による県民の混乱などがないよう求めている。


■手続き1カ月半超遅れも

 原発事故の国の賠償基準「中間指針」の見直しに合わせた追加賠償で、案内・手続きが変更される点は【表】の通り。電話やウェブで書類による手続きを希望した人らに送っていた請求書が対象者のいない住所に届いた問題を受け、現在は請求書の発送を停止している。今後は直接手渡しで届ける簡易書留にした上で、7月中旬ごろに発送を再開する。

 住所変更していない人を中心に追加賠償の案内として送ってきたダイレクトメール(DM)も誤送付問題を受けて発送を一時停止しているが、今後は全面的に廃止する。従来はDMで対象者の居住を確認した後に請求書を届ける流れだったが、全て簡易書留で請求書を送る方法に切り替え、7月下旬から送付を進める。完了時期は当初予定通り、10月中を目指す。

 発送の停止から再開まで1カ月半以上かかる理由について、東電は郵送方法の切り替えのため書類の発送に向けた準備をやり直す必要が生じたと説明。「別人に届くことでの成り済まし請求などを防ぐための対策を進めている。急いでいるが、7月中旬まではかかる」としている。

 東電は人為的なミスによる書類誤送付の再発防止策を講じる。住所変更や送付先の入力ミスなどを防ぐため、煩雑な作業工程を改善し、複数人による確認体制を取る。

 追加賠償の請求受け付け開始から2カ月以上が経過するが、20日現在で支払いを受けたのは対象者約148万人のうち、3・2%に当たる約4万8千人にとどまる。書類発送を停止する一方、支払い作業は続けているが、さらなる迅速化を求める県民の声は多い。請求受け付けも約26万6千人と対象の2割に達しておらず、書類発送の早期再開も求められている。県原子力損害対策課の担当者は「問題を重く受け止め、再発防止につなげてほしい。今回の変更が県民の混乱を招かないように丁寧な対応を求めたい」としている。

 追加賠償に関する問い合わせは東電の相談専門電話へ。