
会津勢21年ぶりのベスト4だ。郡山市のヨーク開成山スタジアム(開成山野球場)で21日に行われた第105回全国高校野球選手権記念福島大会の準々決勝。磐城を破った会津北嶺は春の敗戦を糧に結束を強め、創部6年目で福島大会初の準決勝進出を果たした。
伝統校の磐城に11―4の七回コールド勝ちを収めると、会津北嶺ナインはベンチから駆け出し、喜びをかみしめた。「自分たちの代で必ず優勝する」との誓いを新たに拳を突き上げ、スタンドの声援に応えた。
前身の若松一の野球部は2002(平成14)年を最後に部員不足で休部。2018年、当時の1年生7人を中心に会津北嶺の野球部として再出発した。同年の福島大会は大会直前に加わった1、2年生とともに出場したが、2回戦で日大東北に0―39の五回コールドで大敗した。
現チームは会津地方に加えて沖縄、大阪、東京、郡山市など県内外から野球に打ち込む環境を求める仲間が集った。部員は約50人。春の県大会で初の8強入りを果たしたが、準々決勝で聖光学院に0―11で五回コールド負け。「このままでは夏も後悔する」。強豪の壁の高さと、甲子園への道のりの遠さを思い知った。
選手は一日100本の素振りを欠かさず、強豪高の投手の速球を想定した打撃練習も充実させた。3年生を中心にチームの雰囲気を引き締め、練習中の雑談も減るなど意識を統一した。
この日は14安打の攻めで磐城を退け、鍛錬の成果を示した。23日の準決勝は第2シード学法石川に挑む。原太一主将(3年)は「自分たちは挑戦者。一戦一戦全力で戦うだけ」と緩みはない。ノーシードからの甲子園まであと2勝。快進撃はまだ終わらせない。
◾️会津地域の愛好者も注目
会津勢の躍進を周囲も注目している。会津若松市のスポーツ用品店「バンダイスポーツ」マネジャーで中学校部活動の軟式野球で週末合同練習を指導している小林恭兵さん(35)は「会津のチームが4強に残り、盛り上がる」と喜ぶ。会津工で白球を追った。「久しぶりに会津勢が終盤まで勝ち進んだ。身近な学校の活躍は野球に打ち込む子どもの励みになる」と話した。
軟式野球クラブ「小金井ブレーブス」で内野手や投手としてプレーする佐藤孝樹さん(11)=本郷小6年=は「近くの学校が勝ち上がり、うれしい」と声を弾ませた。「甲子園に出場してほしい」と期待した。