東日本大震災・原発事故

福島県浪江町の復興拠点に人と馬、自然が共生するコミュニティー整備 一般社団法人SOMA

2023/08/18 09:10

  • Facebookで共有
  • Twitterで共有
浪江町室原地区のコミュニティー拠点の前で意気込みを示す(左から)相馬、高橋の両氏
浪江町室原地区のコミュニティー拠点の前で意気込みを示す(左から)相馬、高橋の両氏

 旧相馬藩領のうち、東京電力福島第1原発事故により避難指示が出された地域でまちづくりに取り組む一般社団法人SOMA(福島県浪江町)は、町内室原地区の特定復興再生拠点区域(復興拠点)に人と馬、自然が共生する自律型コミュニティー拠点を作る。国内外から仲間を募り、会員証を発行。会員から集めた資金で各種交流施設を設ける。旧相馬藩領に伝わる馬事文化の歴史をつなぎ、地域の交流・観光人口拡大を図る。

 コミュニティーの名称は「驫(ノーマ)の谷」。9月29日からアートが描かれたデジタル会員証「NFTアート」をネット上で販売し、国内外に発行する。約500枚を用意し、価格は数万円から数十万円の4段階を予定。アートはSOMA所属のアーティスト森廼(もりの)遊さんが、人やかぶとなどをモチーフに1種類ずつ違う絵を描いた。

 室原地区の復興拠点にある約1900平方メートルの土地に交流施設などを新設する。乗馬トレッキングや観光馬車体験など、人と馬が触れ合える場所を想定している。子どもの体験・探求学習の場としての機能、住民らが集えるカフェなども設ける考えだ。

 施設の詳細は会員による議論で決める。事前にオンライン上で意見を出し合い、住民を交えた車座対話で最終決定する。会員全員が意思決定に参加できる「自律型」の形式で地域に必要な施設を考える。10月中旬ごろから議論を本格化させる見通しだ。

 SOMAの高橋大就共同代表らが17日、浪江町で記者会見して発表した。高橋さんは「世界のモデルとなる自律的なコミュニティーをつくり、地域の歴史や文化を継承していきたい」と決意した。

      ◇      ◇

 相馬家第33代当主の長男・相馬行胤(みちたね)さんはSOMA共同代表として、広島県から浪江町室原地区に移住した。旧相馬藩領内に住み、会員とともに活動する。17日の会見に臨み、「先人の歴史を引き継ぎ、千年続く地域にする」と誓いを立てた。

 第21代当主・相馬昌胤は浪江町幾世橋地区に隠居し、地域を発展させたとされる。歴史にならい、復興に貢献しようと同じ町に移り住むと決めた。今年は相馬家が相双地方に移住して700年の節目。「多くの方々と一緒に、地域に貢献する」と意気込んだ。