東日本大震災・原発事故

嫌がらせ電話、福島県内外相次ぐ 知事、早期沈静化を要請 政府に「オールジャパンで」

2023/08/29 08:00

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 東京電力福島第1原発の処理水海洋放出後、中国からの嫌がらせとみられる電話が福島県内外で相次いでいる事態を受け、内堀雅雄知事は28日、政府に早期沈静化を要請した。福島市で開かれた福島復興再生協議会で「オールジャパンで政府一丸となって早期沈静化に努めてほしい」と西村康稔経済産業相に求めた。協議会後の記者会見で報道陣に明らかにした。

 記者会見で、内堀知事は県内では旅館や飲食店、道の駅などに加え、新たに病院や薬局でも迷惑電話が相次いでいるとして「大変遺憾だ。円滑な業務運営に支障が出ている」と危機感をあらわにした。協議会の議長を務める渡辺博道復興相は報道陣に対し、「医療機関への迷惑電話は命に関わる問題だ」と批判し、「集中的で極めて異常。具体的な対応を検討していく」と述べた。

 迷惑電話は処理水海洋放出とは直接的に関係のない施設などでも確認されている。内堀知事は「これまでの原発事故の風評被害とは次元の違う部分が相当ある」との認識を示し、日本全体の問題として政府が速やかな対策を講じるよう訴えた。県は実態の把握に努め、海外からの迷惑電話の遮断などの対応策を県警と連携して周知していく方針。

 協議会は冒頭を除き、非公開。西村経産相は冒頭のあいさつで、処理水の海洋放出に伴う風評被害対策と漁業継続支援を目的に設置した計800億円の基金を「適切に、機動的に活用する」と強調した。内田広之いわき市長は協議会後、報道陣の取材に対し「漁業だけでなく加工業、流通業、旅館業、観光業などの関係者から(処理水海洋放出の)理解醸成は途上という厳しい意見をいただいている」と述べ、政府に対話の継続を求めたと明らかにした。野村哲郎農林水産相や西村明宏環境相、管野啓二JA福島五連会長、渡辺博美県商工会議所連合会長らが出席した。