
慶応(神奈川県代表)の107年ぶりの優勝で幕を閉じた全国高校野球選手権大会では、選手の丸刈りではない髪型が話題となった。27日まで開かれた第75回秋季東北地区高校野球福島県大会の会津支部大会でも、選手の髪型はさまざまだった。野球部員が減少する中、生徒が必要以上に制限を受けず活動できる環境づくりが求められている。(福島民報社会津若松支社報道部・亀山美波)
■丸刈り「自発的」
会津支部大会で優勝した会津学鳳は、ベンチ入りメンバー全員が丸刈りだった。指導者や選手同士で強制しているわけ訳ではなく、選手が自発的に髪を切っているという。
池下蹴馬主将(2年)は「うちのチームはすごく仲が良い。(丸刈りは)2年生同士のノリで始まった」と話す。大会前に同級生全員で散髪ことが恒例行事だという。今大会は2年生の姿を見て、1年生も自然と加わった。「大会前に意思を統一でき、試合中の雰囲気も良くなった」と笑顔だった。
■強制なしに賛成
準優勝した会津北嶺の選手は髪を伸ばしていた。帽子やヘルメットをかぶれば丸刈りかどうか判断できないほどの短さだ。髪型の判断は選手に委ねられており、長さも決まりはない。自主的に丸刈りを選ぶ球児もいる。
永井綾真主将(2年)は「丸刈りにしなければいけないというルールを理由に、高校で野球を続けない人もいると思う。髪型の強制はない方がいい」と語った。
■部員が減少
日本高野連が6月に公表した「高校野球実態調査」では、「部員の頭髪の取り決め」について「丸刈り」と答えた学校は26・4%で5年前の76・8%から急減した。一律的だった球児のヘアスタイルは様変わりしている。
日本高野連によると、5月末の県内硬式野球部の部員数は2088人で2013(平成25)年の3088人から千人減少した。全国でも10年前の16万7088人から12万8357人まで減った。
競技人口が減る中、子供たちに野球を続けてもらうための対策が必要だ。髪型が自由という動きは、その一助になり得るだろう。丸刈りの良しあしではなく、選手には必要以上の制限に縛られず、伸び伸びとプレーを楽しんでもらいたい。