東日本大震災・原発事故

福島県の今、台湾で発信へ 飯舘村のサクラ・シスターズ 動画制作の取材団招く

2023/09/02 18:09

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和服や甲冑を身に着けてPR動画を撮影する台湾メディア関係者=1日、福島県南相馬市
和服や甲冑を身に着けてPR動画を撮影する台湾メディア関係者=1日、福島県南相馬市

 福島県飯舘村のサクラ・シスターズは台湾からデジタルメディアの取材団を招き、浜通りなどを巡って福島県の観光PR動画を制作している。東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出で新たな風評が懸念される中、台湾の住民に向け、見聞きした本当の福島の姿を発信してもらうため企画した。

 サクラ・シスターズは神奈川県出身で昨年、飯舘村に移住した峯岸ちひろさん(32)が社長を務める。台湾で芸能活動や飲食店経営などに携わった縁から福島の復興に自身のパイプを生かした活動を始めた。インフルエンサーの力を借りて海外に福島を発信する事業などに取り組んできた。

 動画制作は経済産業省の地域の伝統・魅力等発信支援事業に採択されている。今回は台湾最大級の女性向けデジタルメディア「妞新聞(niusnews)」の記者とカメラマン計3人を招き、8月30日から取材に入った。富岡町のとみおかワインドメーヌやいわき市のアクアマリンふくしまなどを巡った。1日には南相馬市を訪れ、和服や相馬野馬追の甲冑(かっちゅう)を身に着け撮影した。

 取材の旅を約3分の動画にまとめ、10月以降に台湾のプロ野球チーム「楽天モンキーズ」の主催試合でオーロラビジョンに放映するのをはじめ、交流サイト(SNS)などで発信する。来県を促す観光案内図のような冊子も作成予定だ。峯岸さんは「参加者に無邪気に楽しんでもらってうれしい。福島の魅力を広げたい」と話している。

 甲冑体験を楽しんだカメラマンのツェン・ヨン・アンさん(29)は「震災を経験しても活力があって努力する人の姿が印象的だ。ご飯のおいしさや人の良さを発信したい」と話した。