福島県大熊町は町内に災害発生時の住民避難や情報発信の中核となる防災拠点施設を整備する方針を固めた。昨年6月に東京電力福島第1原発事故に伴う特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示が解除され、住民帰還が徐々に進む中、町民らの安全安心につなげる。8日、町議会9月定例会の一般質問で吉田淳町長が明らかにした。
町は現在、施設の機能や規模、設置場所などの詳細を協議している。現状では復興拠点内への整備を想定。主要幹線道路からのアクセスの良さを考慮する。東日本大震災と原発事故の教訓を踏まえ、災害情報を積極的に取得・発信できる機能、救助や避難などに活用できるヘリポートの設置も検討していく。
町内には防災拠点施設がなく、災害発生時などの対応が課題となっている。町環境対策課は「少しずつ住民が増えており、防災拠点は必要な施設」と整備の意義を強調し、「震災と原発事故が発生した際には必要な情報をなかなか得られなかった。教訓を生かし、しっかりと検討を進め、スピード感を持って対応していきたい」としている。