東京電力は23日、福島第1原発処理水の海洋放出で、2回目分として計画していた総量約7800トンの放出を完了したと発表した。放射性物質トリチウムの濃度に異常は確認されておらず、設備のトラブルもなかったとしている。今後の設備点検で問題がなければ、年内に3回目の放出を開始する。
東電によると、5日午前に2回目の放出を始め、19日間で計7810トンを流した。23日午後0時8分に配管内に残った処理水をろ過水で押し流した。24日以降に設備に異常がないかを点検し、3回目分の処理水をタンク内で循環させる作業も進める。次回もこれまでと同様、約7800トンの放出を予定している。
東電の計画では、多核種除去設備(ALPS)で浄化できない放射性物質トリチウムを国の基準の40分の1(1リットル当たり1500ベクレル)未満になるように海水で薄め、海底トンネルを通じて原発の沖合約1キロで放出する。今年度は約3万1200トンを4回に分けて放出する。
国や東電、福島県は原発周辺の海水に含まれるトリチウム濃度を測定・公表している。8月24日の海洋放出開始以降、東電が放出停止を判断する指標としている1リットル当たり700ベクレルを大きく下回っている。