福島県内の選挙

11市町村がマイナカードによる不在者投票用紙申請を導入 福島県議選

2023/10/31 10:11

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 11月2日告示、12日投開票で行われる福島県議選で、福島市など11市町村がマイナンバーカードを使って不在者投票用紙をオンライン申請できる仕組みを導入する。福島民報社の取材で分かった。市町村により対応が分かれる現状に対し、専門家は「導入に向けた経費を支援するなど国主導で取り組むべき」と指摘する。


 県議選でオンライン申請が可能となるのは福島、会津若松、郡山、いわき、白河、喜多方、相馬、伊達、南会津、玉川、平田の11市町村。有権者の投票機会の拡充や手続き期間の短縮が期待される。

 選挙期間中に出張や旅行、入院などで不在にする有権者が行う不在者投票は従来、選挙人名簿に登録されている市町村選管委に直接行くか、郵送で申請し、投票用紙を取り寄せる必要があった。オンライン申請では、マイナンバーカードがあれば専用サイト「マイナポータル」で投票用紙を請求できる。

 玉川村は昨年10月の知事選で、村に住民票がある県外在住の学生からオンライン申請の問い合わせを受け、導入準備を進めてきた。村選管委の担当者は「手軽さがあるため、若者らが投票する契機になれば」と話す。一方、デジタル機器に不慣れな高齢者らへの十分な説明が難しいとして二の足を踏む市町村も。避難者の高齢化が進む南相馬市の市選管委は「仕組みを理解してもらえる有効策を検討したい」としている。

 2019年の県議選で不在者投票用紙の請求は26市町村で計5千件だった。県選管委の担当者は「先行事例を紹介し、導入を後押する」と語った。東北大大学院情報科学研究科の河村和徳准教授(政治学)は「投票の機会を増やすためにもデジタル技術の活用は意義がある」とし、市町村への国の支援拡充を求めた。