
(下郷町、檜枝岐村、只見町、南会津町=有権者2万570人)
大桃 英樹 48 無新 自民推薦
渡部 英明 56 無新
(届け出順、敬称略)
◇2019年県議選開票結果
南会津郡(定数(1)―2)
投票率75・16%
当 8,337
星 公正 66 自現 (3)
◎ 8,263
渡部 英明 52 無新
定数が1に減った1979(昭和54)年以来、新人同士の一騎打ちは初。ともに無所属の大桃、渡部は南会津町生まれ、町職員出身で人間関係も複雑に絡み合っている。両陣営とも自らの“野党色”を薄め、大桃は保守層の支持固め、渡部は切り崩しに注力し、激戦を繰り広げている。
「皆さんの声を県政に届け、生まれ育った南会津を豊かにしたい」。大桃は7日、南会津町で開いた個人演説会で声を張り上げた。
南会津町議を3期務めた経験がある。一方で、これまで所属してきた政党は国民民主、立憲民主など。自民の推薦を受けて県議選に立候補するに当たり、立民衆院議員の小熊慎司とたもとを分かった。
告示前まで各所に張られた大桃の「2連ポスター」には自民衆院議員の菅家一郎が写る。自民支持層には、小熊と大桃が政治的に近かった過去に反発する有権者もいる。ただ、陣営は大桃への野党系の印象は次第に薄れ、今期で引退する自民現職の議席を死守しようと結束する動きが強まってきたとみる。
自民支持層の票固めを急ぎながら、無党派層の取り込みも狙っている。後援会長の星公正は「まだ決めていない有権者が多数いる。政権与党とのパイプを地道に訴えていくしかない」と集票に力を入れる。
「地域の代弁者として暮らしや未来を守る“住民党”として戦う」。渡部は7日、下郷町を中心に回り、有権者に支持を訴えた。
前回、立憲民主、国民民主、社民の各党から推薦を受けたが、自民公認候補に74票差で敗れた。今回はあえて政党から推薦を受けず、出身母体の自治労県本部や連合福島などの推薦にとどめた。
南会津町職員を30年以上務め、組合活動などで地元に貢献した実績がある。前回のリーフレットには自治労県本部や連合福島で活躍した経歴を記載したが、今回は行政区長や行政書士などの肩書を記した。政党色を出したくないという陣営の意向もあり、事務所開きや出陣式には小熊ら国会議員の姿はなかった。
自民支持層が一枚岩ではないとみて、建設業者らへの食い込みを図っている。後援会長の細井信浩は「党派を問わずに幅広い支持を得られるよう選挙戦を展開していく」と攻めの姿勢を見せる。(文中敬称略)