東日本大震災・原発事故

大多数の原告と東電が和解 9市町村避難住民 原発賠償集団訴訟で全国初か

2023/11/09 09:20

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 東京電力福島第1原発事故によって福島県南相馬市や双葉町など9市町村から避難した住民が、東電に損害賠償を求めて地裁いわき支部に起こした集団訴訟で、大多数の原告と東電が和解した。8日、原告側弁護団がいわき市で記者会見して明らかにした。弁護団は「原発事故を巡る集団訴訟の和解は全国初ではないか」としている。

 これまで和解案の受け入れをたびたび拒否してきた東電が「裁判所から和解の提案があれば前向きに検討したい」と申し入れ、裁判所が和解案を提示した。背景には従来より救済対象を大幅に拡大した「中間指針」第5次追補の公表があったとみられている。

 原告87人のうち84人が10月24日付で和解した。弁護団によると、原告と東電の話し合いが第5次追補と同水準の金額でまとまったのに加え、原告が早期解決を望んだことが和解の成立を後押ししたという。

 原告側の広田次男弁護士は「今後は東電側が和解に応じる対応に傾くのではないか」と指摘した。

 東電は「引き続き紛争の早期解決を目指して真摯(しんし)に対応していく」としている。

 一方、残る原告3人について地裁いわき支部(三井大有裁判長)は8日に判決を言い渡した。避難指示解除準備区域の住民に1130万円、緊急時避難準備区域の住民に300万円(いずれも1人当たり)を支払うよう命じた。