

福島県いわき市のハワイアンズスタジアムいわき(いわきグリーンフィールド)で11日に行われた第69回県高体ラグビー競技兼第103回全国高校ラグビー県大会決勝で、優勝を飾った学法福島は、相手の磐城より上回った体格を生かして得点を重ねた。ボールを保持して力で押し切り、トライを奪った。ボールを素早く動かし、攻めようとした磐城を封じた。
▽決勝
学法福島 50(28-5)12 磐城
(22-7)
【評】学法福島が磐城に大勝した。学法福島は前半4分、ゴール前のラックからモールで押し込み渡辺大がトライ。その後もモールでの得点が続き、相手を突き放した。磐城も奮闘したが、学法福島の守備に阻まれ、2トライと伸び悩んだ。
■積極姿勢で主導権 学法福島FWの要、高橋 「当たり負けなかった」
学法福島は磐城を攻守で圧倒し、3年ぶりの花園出場を決めた。FWの要として体を張ったHO高橋桧は「自信を持って相手にぶつかり、当たり負けなかった」と誇った。
磐城の速攻を封じるため、守りに入らず、積極的に攻めた。試合開始直後から主導権を握り、前半4分、モールで相手を押し込んでから先制のトライを挙げた。その後も攻撃陣が躍動し、3トライを奪った。
前半終了間際に磐城にトライを許すが、ハーフタイムで「ミスを引きずらず、前を向いて戦おう」とチーム内で鼓舞し合った。後半は高橋を中心に激しいタックルで反撃の芽を摘み、流れを相手に渡さなかった。
練習で磨きをかけた攻めの守備を決勝でも発揮できた。高橋は「陣形の隙を抜かれて失点した場面もあったので、守備位置を見直して全国の強豪に挑みたい」と向上心を見せた。
■学法福島の渡辺大、笑顔の5トライ 密集の中で好機見極め
学法福島のCTB渡辺大和は5トライを決めてチームを頂点に導いた。「3年間一緒に汗を流した仲間と花園に行けることになり、本当にうれしい」と笑顔を見せた。前半4分、モールを形成して敵陣を進み、密集の中で好機を見極めてゴールラインに飛び込んだ。流れを呼び込むトライに成功し、右拳を突き上げた。「全国大会でもトライを奪いチームに貢献したい」と活躍を誓った。
■主将高萩「チームのために」 磐城 初戦で骨折、意地のプレー
試合終了後、磐城の選手は顔を覆い、頬を伝う涙を拭った。磐城は相手に圧倒され、点差を離された。左手を骨折していた主将のCTB高萩康太は「前半のモールで取られ過ぎた。自分たちのミスも多かった」と振り返った。
県大会の初戦で負傷した。試合に出続けるのは難しいとの考えがよぎったが、日に日に腫れは引いた。痛みは続いたが「チームのためにも必ず出場する」と奮起し、試合に臨んだ。
決勝は手の痛みが薄れるほど集中できた。モールで得点されるのは想定内だったが、決勝戦の緊張から、巻き返しを図れなかった。
大学に進み、競技を続ける予定だ。「体の強さを生かして、フランカーにも挑戦したい」と抱負を語る。後輩には「体を大きくし、自分たちの展開ラグビーを貫いてほしい」とエールを送った。
■持ち味の走力生かしトライ 磐城の池田、後輩に期待
磐城のFB池田智紀は「練習の成果は出ていた」と前を向く。池田は前半34分、パスを受けると相手タックルをさばき、持ち味の走力を生かしてゴールラインにトライした。全国大会に出場できなかった悔しさは残る。共に励んできた後輩に「1、2年生で決勝に出られるのはいい経験だ。来年は花園に行ってくれると信じている」と期待した。