
東京電力の小早川智明社長は5日、福島民報社を訪れ、廃炉作業の最難関とされる福島第1原発1~3号機の溶融核燃料(デブリ)の取り出し作業には安全最優先の姿勢で臨むとの考えを示した。小早川社長は「何か心配事があったらとにかく立ち止まる。スケジュール通りに必ずやるという約束はしない方が良いと考えている」と語った。
―年度内に2号機のデブリ取り出しを始める予定だ。
「スケジュールありきではなく、安全に進める方が重要だ。(その上で)まだまだ(当初の)工程をギブアップする段階ではないと考えている」
―長期にわたる処理水の海洋放出への決意を。
「新年度の放出に対するわれわれの考えを早ければ今月末に示し、さまざまな意見をいただきながら修正したい。絶対に風評を起こさないためには安全な運用が第一になる」
―処理水の海洋放出に伴う風評被害への認識は。
「風評の定義にもよるが、直接的な風評は幸いなことにそれほど大きく顕在化はしていないと思う。ただ、いつどこで風評が起こるか分からない。引き続き緊張感を持って対応する」
―昨年は協力企業の作業員が放射性物質を含む廃液を浴びる事故が発生した。
「非常に重く受け止めている。作業のミスは起き得るが、装備をしっかりしてない状態で作業が行われていたことは非常に由々しき問題だ。社員や作業員の安全に対するコミュニケーションを強化し、再発防止を図る」
―廃炉の最終形をどう考えるか。
「関心の高いデブリは、性状が明らかにならないことにはどのように処分するかを決められない。(構内の)廃棄物の減容化や再利用にしっかりと取り組む必要がある」
―柏崎刈羽原発の再稼働に対する思いは。
「当社の最大の使命は福島への責任を果たすことだ。事故の当事者として安全、セキュリティーの実績を示し、信頼をいただける状態をつくる」