東日本大震災・原発事故

復興財源新枠組みを 「第2期」後見据え財政需要増で 福島県、政府に要請

2024/02/19 09:30

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 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興を政府が手厚く支援する「第2期復興・創生期間」(5年間)が2025(令和7)年度で終了するのを受け、県は18日、第2期終了後の復興財源の確保に向け、まずは2025年度までの復興財源フレームを見直すよう政府に申し入れた。福島市で開かれた福島復興再生協議会で、内堀雅雄知事が復興、経済産業、環境、農林水産の4大臣らに直接要請した。復興の進展で新たな財政需要が増大しており、第2期終了後につながる新たな枠組みを求めた形。内堀知事は2025年度政府予算編成に向けた今夏の概算要求に合わせ、財源フレーム見直しの根拠となる復興事業の大枠を明確にしたい考えを明らかにした。

 

 協議会は冒頭を除いて非公開。内堀知事は終了後の取材で、30~40年かかるとされる福島第1原発の廃炉、2045年が法定期限の除染廃棄物の県外最終処分などを挙げ「福島の復興再生は長い道のりだ」と強調した。福島国際研究教育機構(F―REI、エフレイ)の運営、特定帰還居住区域整備など、復興の進展を踏まえ「新たに生じた財政需要は(第2期の)5年間で的確に対応していくことが重要だ」と訴えた。

 第2期終了後の期間設定の在り方を問われた内堀知事は、政府などと具体的な協議には入っていないと前置きした上で「5年計画で整理されてきたこれまでの経過は一つの前提になってくると思う」との見方を初めて示した。政府はこれまで「集中復興期間」、「復興・創生期間」、「第2期復興・創生期間」と5年ごとに区切り、復興予算を一般会計から切り離した特別会計で管理し手厚い支援を講じてきた。政府の復興基本方針では、原発事故被災地は2030年度までの「当面10年」の支援を明記している。

 政府は2020年7月、第2期復興・創生期間の復興財源を1兆6千億円確保すると決定。2011~2025年度までの15年間の復興財源は計32兆9千億円で、2024年度当初予算案を含めた執行見込み額は32兆6千億円。復興財源の残りは単純計算で3千億円程度となる。この残額で2025年度予算を賄う場合、6331億円とした2024年度予算案の半分程度になる形だ。

 ただ、第2期の財源決定以降、エフレイが浪江町に開所し、世界最先端の研究開発の実現に向けた環境整備がこれから本格化する。帰還困難区域では2020年代の避難指示解除を目指す特定帰還居住区域の仕組みが創設された。県はこうした新たな復興課題や、昨今の物価高騰などの影響を考慮すると、既存の枠組みでは2025年度の事業執行が不十分になる可能性があると分析。仮に2025年度政府予算で復興事業費が十分に確保されなければ、第2期終了後の復興財源の縮小も懸念される。政府との折衝が大詰めを迎える2025年度を見据え、2024年度から調整を本格化させたい考えだ。

 

■第2期復興・創生期間と第2期後の財源確保に関する県の要望概要

◆第2期復興・創生期間

・エフレイの設立、特定復興再生拠点区域や特定帰還居住区域の整備など既存の財源フレーム決定後に生じた課題やニーズに対応する経費が増大

・2025年度予算の財源は非常に厳しくなると想定

・財源フレームの見直しが極めて重要

 

◆第2期復興・創生期間後

・東京電力福島第1原発の廃炉、帰還困難区域全ての避難指示解除など福島の復興には長い期間が必要

・原発事故に伴う課題は日本全体の問題

・復興の進捗(しんちょく)に伴う変化を踏まえるとともに、新たに生じた課題やニーズに適切に対応していくことが必要

・十分な財源と枠組み、復興を支える制度の確保が不可欠