バド女子単の大堀 攻め貫き快勝 憧れのコート「すごく楽しい」

2024/07/29 09:43

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 幼いころから憧れ、27歳でたどり着いた五輪のコートは格別だった。「思い描いた通り。やっぱりすごかった。すごく楽しい」。パリ五輪のバドミントン女子シングルスで28日の初戦に勝った福島県会津若松市出身の大堀彩(28)=トナミ運輸、富岡高出身=は笑顔で試合を振り返った。大観衆が見つめる緊張感を平常心で克服。攻めの姿勢を貫いてストレート勝ちを収めた。

 「自分の100%を出し切ろうと思った」との言葉通り、立ち上がりから攻めた。第1ゲームは強烈なスマッシュやネット際に落とす技術で揺さぶり、中盤の連続得点後は自らを鼓舞するようにガッツポーズを連発。第2ゲームは微妙な判定を受けても冷静さを失わず、足の止まったトルコ選手を翻弄(ほんろう)した。「初対戦だったので警戒した」という初戦を、終わってみれば一方的に押し切った。

 普段の大会とは観客の反応や会場の雰囲気が異なる。試合が迫るごとに緊張感が高まったが、開会式に参加するなど大会全体を楽しむつもりだ。白星発進にも「次の試合には次の緊張があると思う。目の前の一戦に集中する」と気を引き締める。女子シングルスの1次リーグは各組1位が決勝トーナメントに進む。一時は引退さえ考えた末の復活劇の終着点は、まだ先にある。

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 観客席では、両親や所属するトナミ運輸の関係者が声援を送った。幼少期から高校、社会人と大堀を指導している父均さん(55)は前日、いつも通りに戦うようアドバイスした。「五輪は初めて観戦するが、応援する側も感覚が違う。いつも通りやるのが一番難しいのかもしれない」と話した。元実業団選手の母麻紀さん(55)は海外の大会で娘の試合を見るのは初めて。「覚悟を持って戦っていた」と頼もしさを感じていた。