チーム救った19歳 なでしこ逆転勝利 谷川萌々子(アカデミー福島出身) 鮮烈ロングシュート

2024/07/30 09:36

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【パリで本社報道部副部長・鈴木宏謙】28日(日本時間29日)に行われたパリ五輪サッカー女子1次リーグのブラジル戦で、JFAアカデミー福島で育った逸材がチームを救った。MF谷川萌々子(19)=ローセンゴード=は同点PK獲得に決勝点と、終盤の十数分間で試合の主役になった。

 後半35分に登場すると、体の強さを生かしたボール奪取や多彩なパスで活路を探った。追加タイムにドリブルで相手のハンドを誘い、主将の熊谷紗希(33)=ローマ=の同点弾をお膳立て。さらに敵陣でこぼれ球を拾うと、すぐにGKの位置を確認。得意のロングシュートでゴールへと美しい弧を描いた。

 アカデミーで学ぶ高校生だった昨夏のワールドカップ(W杯)で練習要員を務めた。続く杭州アジア大会で活躍し、卒業を待たずに渡欧した。ローセンゴード(スウェーデン)で得点を量産したが代表に合流前に負傷し、直前合宿は別メニューで調整してきた。初めて立った五輪の舞台で復活を遂げ「スタッフや選手の皆さんの支えで今の自分がいる」と感極まった。

 大逆転の裏には最少失点で耐えた守備陣の献身もあった。両サイドのうち、谷川とアカデミーで同学年だったDF古賀塔子(18)=フェイエノールト=が右を、負傷で抜けたDF清水梨紗(28)に代わりアカデミー勢のDF守屋都弥(27)=INAC神戸=が左を担った。

 古賀は強さとうまさを兼ね備えるブラジルに後半途中で退くまで体を張り続けた。主力級の働きを続ける最年少は谷川の復活を喜んだ上で「自分も攻撃に貢献したい」と励みにした。福島県で東日本大震災と東京電力福島第1原発事故を経験した守屋は豊富な運動量が光った。「あそこで決めてくれるのは心強い」と新戦力の台頭を歓迎した。