富岡高出身の渡辺・東野 準々決勝・大量リード許す展開から逆転で4強に 「最高のパフォーマンスをするために来た」

2024/08/01 20:31

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【パリで本社報道部副部長・鈴木宏謙】互いの信頼感と勝利への執念で劣勢を覆し、前回と同じ舞台にこまを進めた。31日夜(日本時間1日未明)に行われたパリ五輪バドミントンの混合ダブルス準々決勝。世界ランキング5位で福島県の富岡高出身の渡辺勇大(27)、東野有紗(28)組=BIPROGY=は大量リードを許す展開から逆転し、2021年東京五輪に続いて4強に進んだ。渡辺は「最高のパフォーマンスをするために来た」と今大会に懸ける思いを語った。

 第1ゲームは世界ランク6位のタイのペアの速さや場内の風の影響に手を焼いた。2―11の9点差でインターバルへ。プレー間に声を掛け合い、「前で勝負」と意思統一して1点ずつ追い上げた。渡辺の緩急をつけた配球や東野のスマッシュで相手のミスを誘い、ジュースに持ち込むと逆転に成功。23―21で先取した。

 第2ゲームでは、落胆と疲れが見える相手と対照的に連係の精度が増す。持ち前の攻撃力で21―14と圧倒した。東野が「勇大君が落とす球をうまく使ってくれたので、自信を持ってプレーできた」、「先輩が前に思い切ってプレッシャーをかけてくれた」とパートナーへの感謝を口にした。

 富岡一中時代に1学年違いでペアを組んで13年。初の五輪に臨んだ東京大会は準決勝で中国ペアに敗れ、3位決定戦を制した。日本勢唯一の銅メダルを得たものの、喜びより悔しさが勝った。再挑戦となるパリの目標には、早くから金メダルを公言。東野は前衛の攻めの選択肢の多様化、渡辺は精度の向上などに励んできた。大舞台で見せた修正力は、積み重ねた歳月と努力のたまものだ。