ボッチャ日本4強 女子砲丸投げ斎藤由希子(福島市)は4位

2024/09/05 10:57

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 パリ・パラリンピック第8日の4日、ボッチャのチーム(団体戦、脳性まひBC1/BC2)準々決勝で日本はブラジルをタイブレーク戦の末に下し、準決勝に進んだ。個人戦で銅メダルを獲得した遠藤裕美(38)=福島県ボッチャ協会、福島市=が正確なショットで勝利に貢献した。

 日本は第1エンドに1点を先取したが2~5エンドに1点ずつ失い、1―4と劣勢に立たされた。最終第6エンドに3点を奪って土壇場で追い着くと、続くタイブレーク戦も制した。

 日本時間の4日未明に行われた1次リーグはチュニジアを11―1、韓国を5―3で破り、A組を1位通過した。3大会連続のメダル獲得を懸け、5日未明に行われる準決勝でインドネシアと戦う。

 陸上女子砲丸投げ(上肢障害F46)の斎藤由希子(31)=SMBC日興証券、福島市=は11メートル61で4位だった。最終6投目に最も良い記録を出したが、3位に27センチ及ばずメダルを逃した。

 車いすバスケットボール女子の日本は準々決勝で中国と対戦し、50―62で敗れ5~8位決定戦に回った。石川優衣(27)=東京都三鷹市役所、郡山市生まれ=は約5分出場した。


■女子砲丸投げ 斎藤4位 夢舞台で「楽しくできた」

 4日のパリ・パラリンピック陸上女子砲丸投げ(上肢障害F46)で4位となった斎藤由希子(31)=SMBC日興証券、福島市=は、一度は諦めかけた舞台で堂々と戦った。東日本大震災、自身のクラス除外、出産による筋力の低下―。メダルには惜しくも届かなかったが、幾多の困難を乗り越え、たどり着いた世界最高峰の舞台でベストを尽くした。

 選手15人による決勝。斎藤は1投目こそ10メートル91と伸び悩んだが回を重ねるごとに記録を伸ばしていった。呼吸を整え臨んだ最終投てきは、この日自身最長の11メートル61。最後まで笑顔を絶やさず投げ抜いた。

 生まれつき左肘から先がなかったが「健常者とも勝負できる」と気仙沼中時代に競技を始めた。気仙沼女子高2年時に経験した震災では、津波で自宅は流された。避難所生活の中でも練習に打ち込んだ。仙台大4年時には世界記録12メートル47(当時)を樹立するまでに成長。2017(平成29)年の結婚を機に福島市に住まいを移してからも競技を続けた。

 しかし、世界記録を持つ実力を持ちながらも長く機会に恵まれなかった。斎藤のクラスは北京大会を最後にパラリンピックで実施されず、やり投げで出場を目指したが届かなかった。一時は引退も考えたがパリ大会で「本職」の復活が決まった。2022年3月の出産で筋力は落ちたものの再挑戦を決断。育児をしながらコーチでもある夫恭一さん(34)と、トレーニングに励み、体を仕上げた。

 これまでの道のりは決して平たんではなかったが、斎藤は「楽しく競技ができた。パラを目指して本当に良かった」と達成感をにじませた。


■ネット中継で家族観戦 奮闘ねぎらう

 福島市の自宅では夫恭一さん(34)と長女千遥ちゃん(2)がインターネット中継で観戦した。恭一さんは「緊張しているようで初めは力みが見られたが徐々に記録を伸ばした。4投目が左にそれなければメダル圏内の11メートル80台に届いたと思う。競技中は笑顔も見られ、楽しんでいたようだった。帰国したら『お疲れ様でした』と伝えたい」と愛妻の奮闘をねぎらった。