
15日公示、27日投開票で行われる見通しの衆院選に向け、県内の各政党や立候補予定者の準備は慌ただしさを増している。新内閣の発足から26日後の投票日設定は戦後最短の日程。事務所の準備に加え、支援を訴えるはがきの作成、遊説日程や政見放送の調整など、〝超短期決戦〟の中でこなさなくてはいけない作業に追われ、関係者は「選挙区割りも変わるので早めに体制を取りたいが…」と焦りを隠せない。
「時間的な余裕がなさすぎる。今回は見送らざるを得ない」。県内のある野党の幹部は疲労感をにじませながら話した。これまで独自に策定していた県版公約の策定を取りやめる方針を固めた。協議に充てる時間が取れないためで、代わりに体制づくりや有権者への浸透に力を注ぐという。今回は党本部の公約を踏まえ、復興政策など本県に関係する内容をまとめ各陣営で共有、発信する戦略に切り替える考えだ。これまでは選挙区ごとに寄せられた要望などを県版公約に反映してきただけに、関係者は有権者の受け止めに影響が出ないか心配する。
新人の立候補予定者はなお大変な状況だ。表明から間もないある新人候補者はまだ党本部への手続きなどが済んでおらず、配布物に「公認候補」などの正式な肩書が明記できずにいる。公示が迫る中、陣営の関係者は「印刷するにも正式な手続きを待たなければならないので、タイミングを計りかねている」と苦悩を打ち明けた。別の新人の陣営は人手不足のため立候補予定者が関係各所へのあいさつなどの合間を縫い、党県連担当者との打ち合わせをせざるを得ないという。
ベテランの現職陣営も対応に追われる。ある陣営では支援者との打ち合わせなどで外に出る機会が多く、事務局員が事務所で作業できる時間が十分に確保できないと嘆く。選対関係者は「まさにパニック状態」と漏らした。