
福島県内選挙区の区割りの改定に加え「超短期決戦」となる今回の衆院選は、直前まで候補者の調整が続いた選挙区があるなど各党とも従来と大きく異なる中で公示を迎える。
自民党県連の役員は「各区の選対本部長を中心に走りながら戦略を考えるしかない」と慌ただしく語った。ベテラン前職2人の引退で新人2人の支援に注力する中、裏金問題の影響で3区の立候補予定者が交代した。県内4小選挙区のうち三つで総裁選前に想定した立候補予定者が変わる事態となった。印刷物や選挙カーなどの準備に奔走する陣営があり、党県連は戦略の練り直しを強いられている。県連内からは「非公認判断で地方組織を混乱させた」と党本部への恨み節も出ている。
立憲民主党県連の幹部は「ここに来てまた構図が変わってしまった」と焦りをにじませる。自民より早い9月中旬に4選挙区での擁立を終え、出だしで優位に立とうとしたが「対戦相手」が相次いで変わった。「政治とカネ」への批判を戦略の中心に据える考えだったが、相手候補の世代交代や無所属での出馬などによる自民側の「裏金問題かわし」を警戒する。党本部が全国で追加公認を進めており、県連内では有権者に「政権を担える政党」と印象付けるための政策の発信も必要との声が高まる。
共産党県委員会は自民党の立候補予定者交代について「これまでの論戦で自民党を追い込んだ成果」と受け止める。「比例で攻める隙ができた」とし、裏金問題の追及で「金権政治」の一掃を目指すとしている。