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都道府県男子駅伝 福島県3位 中高生好走に学生奮起 力出し切った末の「銅」

2025/01/20 11:05

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銅メダルを首にかけ、トロフィーなどを手に3位入賞を喜ぶ福島県チームの選手たち
銅メダルを首にかけ、トロフィーなどを手に3位入賞を喜ぶ福島県チームの選手たち
フィニッシュ地点でアンカー山口をねぎらう佐藤監督(手前)
フィニッシュ地点でアンカー山口をねぎらう佐藤監督(手前)

 「駅伝王国ふくしま」の総合力で銅メダルをつかんだ。広島県で19日に開かれた第30回全国都道府県対抗男子駅伝競走大会で、3位の福島県は実業団勢を欠く中、中学から大学まで各世代の有望選手で挑み、7区間のうち5人が区間順位1桁で走った。初優勝した2019(平成31)年1月の第24回大会以来6大会ぶり5度目の3位以内に食い込んだ。「次こそ優勝だ」。各選手は一時はトップに立つ活躍で得た自信を糧に、2度目の栄冠を狙う決意を固めていた。


■佐藤監督「想定以上」

 「中盤に首位に立てた想定以上のレースだった。中高生の頑張りに大学生が刺激を受け、良い走りをしてくれた」。初采配の佐藤修一監督(47)=湖南高教諭=は手放しで選手の奮闘をたたえた。

 当初は高校生エース増子陽太(17)=学法石川高2年=を高校最長区間の5区、栗村凌(17)=同=を1区に置く想定だった。増子の「1区で勝負したい」との直訴を受け、増子を1区、栗村を4区に配し、前半戦で主導権を握りにいくプランに組み替えた。

 増子が常に先頭集団を引っ張る強気のレース運びで3位でたすきを渡すと、2区伊藤瞭太(15)=三春中3年=はさらに1人を抜いた。3区谷中晴(19)=駒大1年、帝京安積高出身=も後輩の力走に「勢いを消さないようベストを尽くす」と奮い立った。5000メートルの高校記録保持者吉岡大翔(20)=長野、順大2年=に程なく追い付き、3キロ地点でトップに立つと2位に7秒差をつけた。続く栗村も区間2位の好走で先頭を保った。

 最後に意地を見せたのは5位でたすきを受けた7区山口智規(21)=早大3年、学法石川高出身=だ。「3位以上を狙う」と懸命に前を追った。前を行く福岡と埼玉を捉え、三つどもえの3位争いに持ち込んだ。10キロ過ぎから、ギアを一段上げて埼玉を振り切った。追い上げる地元・広島から逃げ切り、3位でフィニッシュ。出色のレースを締めくくった。

 登録メンバーの自己ベストを基に主催者が算出したランキングでは47チーム中、16番手。入賞を現実的な目標に定めていたチームにとって3位という結果は選手起用も含め、持てる力を出し尽くしてつかんだ収穫だ。

 増子と栗村は高校、山口と谷中は大学と来年も同じカテゴリーで主力を担え、中学年代でも控えに回った三輪奈槻(14)=船引中2年=ら有望株がいる。佐藤監督は「来年は優勝を取りにいく。集大成の大会にしたい」と力を込めた。


■「未来につながる」県内関係者

 県内の競技関係者からは6大会ぶりにメダルを獲得した福島県チームの力走をたたえる声が相次いだ。

 福島陸協の鈴木浩一会長(72)は「選手、スタッフが一丸となり、持てる力を出し切ってくれた。来年は優勝に届かなかった結果をモチベーションに変えてさらに励んでほしい」とねぎらった。

 2位となった2010(平成22)年の第15回大会で最終走者を務めた中国電力陸上競技部監督の佐藤敦之さん(46)=会津若松市出身、広島市=は沿道から後輩に声援を送った。「物おじせず若い力を発揮してくれた。未来につながる3位」と祝福し、「来年は優勝を狙えるチームになる」とエールを送った。