東日本大震災・原発事故

除染土壌の県外最終処分 「一貫した取り組み必要」 IAEAグロッシ氏が中間貯蔵施設を初視察 福島県

2025/02/20 09:15

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中間貯蔵施設の土壌貯蔵施設を視察するグロッシ氏(右)
中間貯蔵施設の土壌貯蔵施設を視察するグロッシ氏(右)

 国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は19日、東京電力福島第1原発事故に伴う除染で出た土壌の県外最終処分について「実現させるには一貫した行政の取り組みや十分な予算配分が必要」との認識を示した。除染土壌を一時保管している福島県の中間貯蔵施設(大熊、双葉町)を初めて視察し、終了後に報道陣の取材に答えた。

 グロッシ氏は中間貯蔵施設内の土壌貯蔵施設を訪れ、環境省福島地方環境事務所の関谷毅史所長から貯蔵量の現状や放射線量の推移などの説明を聞いた。道路盛り土実証事業の現場も巡り、「見た限りでは環境省や地域の方々の非常に献身的な作業が実施されている」と評価した。

 中間貯蔵施設に保管中の除染土壌は約1400万立方メートルで、2045年3月までに県外で最終処分すると法律で定めている。グロッシ氏は実現可能性を問われると「実現可能と考える」と強調。その上で「重要なのは国際的な安全基準に従って実施されているかだ」と述べた。

 福島第1原発も訪れ、東電の小早川智明社長と会談した。小早川社長は「本格的な廃炉作業を迎え、不確実性や技術的難易度の高い作業が増える。IAEAには引き続き助言や評価をいただきたい」と求めた。

 グロッシ氏は20日、浅尾慶一郎環境相と面会し、最終処分の実現に向けた連携について協議する方針。