

東京電力福島第1原発事故の影響で休止している大熊町の県立大野病院の後継病院について、福島県は被災地の急性期医療の強化に向けた整備に取り組む。浜通りや中通りの病院などと連携し、幅広い傷病患者に対応できる医療機関とする。がんをはじめ需要が高い手術や治療などを院内で行う人員や設備の体制を整える一方、高度・専門的な治療や3次救急などで他の医療機関と協力する。回復期に入った患者の受け入れ、在宅復帰の支援などの機能も充実させ、避難者の帰還を後押しする。
県が10日、整備基本計画を発表した。福島医大の付属病院となる計画の後継病院の主な疾病に対する取り組み方針は【表】の通り。症状が急激に現れる「急性期」患者の診療体制を充実させる一方、高度・専門的な医療や3次救急で浜通りや中通りの医療機関などと連携する方針。
がん患者に対する一般的な手術や放射線治療などを院内で行い、より専門的な治療が必要な場合は福島医大付属病院などと協力する。脳神経系の救急疾患や心疾患は診断や初期の治療などを担い、血管内の治療や手術などは他の医療機関での実施を視野に入れる。
一方、危機状態を脱し、症状が安定に向かう「回復期」では、地元で治療を受けられるよう連携先から患者を受け入れる。リハビリテーションを行う病棟や設備を整える。地域包括支援センター、介護施設などと連携し、退院後の生活を見据えた支援も行う。
後継病院は病床数100床前後で開院し、帰還・移住の動向などを踏まえて段階的に250床前後まで増やす計画。最大で、急性期一般病棟97床をはじめ、原発事故発生前はなかった回復期リハビリテーション病棟86床、地域包括ケア病棟43床、高度治療室(HCU)16床などとする。現在地で建て替え、2029年度以降の開院を目指す。
■ふたば医療センター 病院など廃止検討へ 後継病院に機能統合
県立大野病院の後継病院の開院に合わせ、県は富岡町のふたば医療センター付属病院・ふたば復興診療所の機能を後継病院に統合し、病院と診療所を廃止する方向で検討に入る。新年度以降に町や関係機関と協議し、対応を判断する方針。