
東日本大震災の発生によって福島県須賀川市長沼地区の農業用ダム「藤沼湖」が決壊してから14年となるのを前に、「大震災と藤沼湖の記憶をつなぐつどい」が9日、市内の滝防災公園で開かれた。
約120人が出席し、園内の慰霊碑に黙とうした。柏村国博実行委員長があいさつし、大寺正晃市長らが哀悼の言葉を述べた。曽祖母に当たる和智さつきさん=当時(86)=を亡くした和智健斗さん(11)ら遺族、関係者が献花した。
健斗さんは母の裕子さん(41)から震災当時の後悔や流れる水の恐ろしさを聞き、身の安全を守る大切さを感じている。「(さつきさんに)会ったことはないけれど、生きていてほしかった」と話した。子どもが好きだったさつきさんの名前が刻まれた碑に鎮魂の祈りをささげた。
柏村実行委員長は「建物や農地は復興してきたが、遺族の気持ちは癒えないままだ。亡くなった方の供養のため、被害を忘れないため、伝承活動を続けたい」と語った。
藤沼湖決壊により7人が死亡し、1人が行方不明となっている。