
東京電力福島第1原発事故に伴う居住制限、避難指示解除準備両区域が2017(平成29)年3月に解除されてから間もなく8年になる。「ようやく復興という大海に出港した」との思いだ。これから起こり得る社会変化にも対応するまちづくりを進める。生活の心配事を一つずつ減らし、多くの町民の笑顔を取り戻したい。
JR浪江駅周辺整備事業は復興の要となる。2030(令和12)年度にグランドオープンする計画だ。そのころには町内に立地する福島国際研究教育機構(F―REI、エフレイ)の施設も形となり、大熊、双葉両町など双葉郡北部の復興も進んでいるだろう。当町も2030年度までのまちづくりをどう進めるかが鍵となる。駅前が復興の象徴となるようしっかりと取り組みたい。
町内の福島水素エネルギーフィールド(FH2R)で進む水素の実証事業は徐々に実用化へと移っていく。浪江だけでなく、福島県全体で水素を活用する動きが出ている。水素社会実現に向けたけん引役となり、水素の需要を広域的な形で増やしていく。
特定帰還居住区域の設定に向けては帰還意向調査を2回実施した。今後も調査を進める意向だが、将来的には古里に帰らないと判断した方々の意見を聞く場を設けたい。町の面積の8割超は森林だ。森林を再生しながら、山間部に暮らしていた町民の生活をどう取り戻すかどうかも考えていかなければならない。