給食が始まったのは1889(明治22)年の山形県鶴岡町の小学校。貧困児童に無料で提供された。おにぎりに塩鮭、菜の漬物のおかずが付いていたという。一世紀を超える歴史を刻んだ一種の「国民食」と言える▼メニューは進化を重ねてきた。ソースカツにデミグラスソースのチーズハンバーグ、レアチーズケーキ…。レストラン顔負けの多彩さだ。特にラーメンが人気だとか。福島市の学校給食で提供されている。ソフト麺に感激した中高年世代からは思わず、「ぜいたく」の声が漏れそう▼地元の農家が手塩にかけて育てた食材を存分に―。それに勝るぜいたくはあるまい。市は今年度、福島大と連携し、市内産の野菜の生産量や流通状況を調べる。市内産食材の給食での使用率は約40%で、県平均を10ポイント近く下回っている。規模の大きな農家が少ないため仕入れ価格が高くなるのが要因という。採用可能な食材を探り、地産地消を心がける▼物価高騰がやまぬ折、調理の現場は少しでも安く調達し、豊富なメニューを楽しんでもらおうと知恵を絞る。食べ残しが出ないよう祈りつつ。令和の福島っ子は、周りの大人の真心も味わう。何というぜいたくか。<2025・4・12>