参院選は3連休の中日の20日に投票日が設定され、夏のレジャーの時期と重なることから投票率の低下が懸念されている。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故発生後は50%台が続いているが、道半ばの復興を成し遂げるには、県民の声を結集して国政の熟議の場に届ける必要がある。棄権せず、貴重な一票を投じよう。
参院選本県選挙区は2010(平成22)年まで定数4だったが、2013年に半減されて2となり、議員1人が背負う重みが増した。有権者はそれぞれの公約をじっくりと見比べ、責務に耐え得る候補者を選びたい。
震災と原発事故発生前、参院選は22回行われたが、本県選挙区の投票率は3回を除いて60%から80%台で推移してきた。しかし、発生後はいずれも50%台で推移している。国政選挙での投票率低下は全国的な傾向だが、本県は被災地の再生や環境回復など復興に向けてさまざまな課題を抱えている。少子高齢化が急速に進み、30年後には県人口が30%も減少するとの試算も発表されている。衆院で与党が過半数割れを起こしている中での戦いは、今後の国政の動向を大きく左右する。未来の国づくりに向け、ふくしまの総意を示す機会となる。
期日前投票の周知に一層力を入れてほしい。参院選で導入初回となった2004年の本県選挙区の利用者は11万6025人だったが、3回前の2016年以降は全て30万人を超え、前回は有権者の4分の1に当たる36万8198人にまで増加した。国民の生活様式は急速に多様化しており、各市町村選管委は開設時間の延長や、人が集まる商業施設への会場増設なども可能なら検討してもらいたい。
投票箱を乗せた車が巡回する移動期日前投票所の導入が県内外で進んでいる。下郷町では昨年10月の衆院選で対象地区の有権者238人のうち、半数近い110人が利用した。今回の参院選では福島市選管委が新たに導入する予定だ。
須賀川市選管委はこれまで、移動が困難な高齢者らを対象に期日前投票の会場までのタクシー料金を負担してきた。今回は投票日も加える。各市町村の先駆的な取り組みを参考に、棄権防止を図ってほしい。(神野誠)