論説

【2025参院選 政治改革】献金の方向性示せ(7月15日)

2025/07/15 09:17

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 政治改革は20日投開票の参院選の大きな争点だが、物価高対策の連呼の陰で議論が深まっていない。自民党派閥の裏金事件に端を発した「政治とカネ」の問題に対する有権者の視線は厳しさを増している。各党は企業・団体献金の扱いに関する方向性と、次期国会に向けた道筋を明確に示すべきだ。

 政治資金規正法は政治家と特定の企業・団体の癒着を防ぐため、企業や業界団体、労働組合などから政治家個人への政治献金を禁止している。ただし、政治家が代表を務める政党支部は受け取れるため、「抜け道」があると批判されてきた。企業・団体献金は約30年前の「平成の政治改革」で政党交付金を導入する代わりに見直しの方向が定まったにもかかわらず、抜本的改革は放置されてきた。

 先の通常国会では献金の透明性を強化するとした自民の法案に対し、立憲民主や日本維新の会など野党5党派は企業・団体献金を禁止とする法案を共同提出したが、採決には至らず、議論を次期国会に持ち越した。昨年の臨時国会に続いて結論が先送りとなり、「決められない政治」の実態が浮き彫りとなった。共同通信社が先月21、22の両日に実施した世論調査では企業・団体献金の存廃について結論を先送りした政治に対し「不信感が強まった」との回答が46・9%に上った。

 参院選の公約で自民、公明、国民民主は企業・団体献金の存続を前提に透明性確保や規制強化を主張している。一方、立憲民主と日本維新の会、共産は企業・団体献金とともに企業・団体による政治資金パーティー券の購入禁止も訴えている。

 選挙区に構える事務所の維持経費や、事務所を切り盛りする私設秘書・スタッフの人件費など政治には一定のコストがかかるのは理解できる。石破茂首相は「企業・団体献金を廃止すれば公費(政党交付金)への依存度が高まる」としている。企業・団体献金の存廃とともに、政党交付金の配分の在り方についても議論が必要だろう。

 政治改革を巡っては女性国会議員の割合引き上げや被選挙権年齢の引き下げなども、課題として積み残されている。各党は政治への信頼回復に向け、改革への本気度を示してほしい。(斎藤靖)