論説

【2025参院選 20日投票】国の針路問われる(7月19日)

2025/07/19 09:07

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 第27回参院選の投開票があす20日に迫った。昨年10月の衆院選以来の国政選挙で、石破茂政権の約9カ月間の実績が問われる。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の風化が懸念される中、「福島の声」を国政に反映させる大事な選挙でもある。有権者一人一人の選択が国の針路を左右する。冷静に投票先を見極め、民意を示したい。

 今回の選挙は、与党の自民、公明両党が125の過半数を維持するのに必要な50議席を獲得できるかが大きな焦点だ。衆院で少数の与党が参院でも少数になれば、石破首相の進退論や連立の枠組み変更につながる可能性もある。

 参院選は政権交代に直結しないが、過去には衆院と参院に「ねじれ」が生じ、政治の分岐点となってきた。1989年の参院選では社会党が大勝し、1993(平成5)年に非自民の細川政権が発足する一因となった。2007年には第1次安倍政権で大敗し、2009年に民主党に政権交代した。2010年には民主党の菅直人政権で大敗し、2012年に自民党が政権を奪還した。今回も今後の政局を占う重大な選挙と言える。

 選挙戦では、消費税率引き下げの是非を含む物価高騰対策やトランプ米政権の関税政策への対処、自民派閥裏金事件への対応や企業・団体献金の在り方をはじめとする「政治とカネ」の問題、コメの価格高騰をめぐる農政の在り方などが主な争点となった。共同通信社が実施した終盤情勢調査では、参院選に関心があると答えた県内の有権者は93・4%に上る。2022(令和4)年の前回と比べ26・3ポイント上回った。暮らしに身近な物価高などの諸課題に対し、無関心ではいられないという県民感情の表れだろう。

 震災と原発事故からの本県の復興は、いまだ道半ばにある。若者の県外流出に伴う人口減少や人手不足など地方特有の課題にも直面している。こうした流れに個々の努力であらがうのは難しい。これまで以上に迅速で柔軟な政治の力が求められる。

 補欠選挙を除く国政選挙で投開票日が3連休の中日になるのは、現行憲法下で初めてとなる。期日前投票が定着してきたとはいえ、投票率への影響が懸念される。将来に禍根を残さぬよう、必ず票を投じよう。(紺野正人)