
度重なる地震で倒壊の危険性がある康善寺本堂(福島市)の再建に向けて19日、建物を解体せず水平に移動させる「曳舞工事」が行われた。地盤改良や基礎を補強することで災害に備え、歴史がある建物を後世へ継承する。工事を請け負うカナメ(本社・宇都宮市)によると、曳舞工事は全国的にも珍しいという。
2011(平成23)年の東日本大震災で屋根瓦が落ちたり、建物が傾いたりする被害を受けた。部分補修を施したが、2022(令和4)年の福島県沖地震で被害が拡大し、使用できない状態が続いている。
曳舞工事は昔ながらの建物の形を残すことができる。この日は油圧ジャッキで約50センチ持ち上げてレールに乗せた約80トンの本堂を、職人が熟練の技で慎重に動かした。22日までに20メートル移動させ、基礎工事終了後に元の位置に戻す。
同寺の改修工事は5月から実施されており、工期は来年12月末までを予定している。屋根を従来の瓦から軽量で耐震性に優れたチタン製に替え、壁の張り替えなどに着手する。