いわき市長選 本社世論調査 内田氏優位 宇佐美氏、清水氏追う 投票先「決めてない」3割

2025/09/03 19:00

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 福島民報社は8月31、9月1の両日、現新元3人が立候補したいわき市長選の世論調査をJX通信社(東京)と合同で行った。取材を加味した序盤情勢は、現職内田広之候補(53)=無所属=が優位に立ち、元衆院議員の新人宇佐美登候補(58)=無所属=、元職清水敏男候補(62)=無所属=が追う展開となっている。ただ、回答者の3割近くが投票する候補を決めておらず、7日の投開票に向け無党派層や浮動票の取り込みが勝敗の鍵を握るとみられる。

 市長選への関心を尋ねた結果は【グラフ】の通り。「大いにある」「ある程度ある」を合わせ、約8割が「関心がある」と答えた。投票する候補者を「決めている」は44・4%、「だいたい決めている」は22・4%、「まだ決めていない」は26・7%、「分からない、答えない」は6・6%だった。

 支持政党別で内田候補は推薦を受ける自民の約5割と公明の6割強をまとめ、立民と国民の約5割に食い込み、共産や社民、無党派層からも支持されている。宇佐美候補は維新の約7割を固め、保守の約5割、参政の4割弱にも浸透している。清水候補は維新と立民の約2割、自民の2割弱、れいわの1割強から支持を得ている。

 地区別では内田候補は大票田の平をはじめ、勿来、小名浜、内郷など全域で手堅く浸透している。宇佐美候補は好間でリードし、平、小名浜、遠野、三和、田人などで内田候補を追う。清水候補は地元常磐で内田候補に先行を許し、小名浜、勿来、遠野などで巻き返しを図る。

 年代別に見ると、内田候補が若者層、中年層、高齢層から幅広く支持を集める。宇佐美候補は20代と50代からの支持が比較的厚い。清水候補は60代以上からの支持が多く、40~50代も割合が高い。

 職業別では内田候補が農林漁業、管理職、主婦(夫)、学生ら全てから満遍なく支持を受ける。宇佐美候補は商工自営業からの支持が比較的厚く、事務・技術職にも浸透。清水候補は農林漁業からの支持が内田候補に迫り、商工自営業にも食い込む。

 内田候補は市政継続を訴え、市の災害対応力を生かした「国際防災都市」の実現や、医師100人増加計画を掲げる。

 宇佐美候補は津波の危険性がある地区へのサッカースタジアム整備反対の方針や、若者向け大型商業施設の誘致を打ち出す。

 清水候補は新たな産業団地の造成や、福島国際研究教育機構(F―REI、エフレイ)の研究に関連する企業の誘致を訴える。


【立候補者】(届け出順、敬称略)

内田広之[うちだひろゆき] 53 無現①

宇佐美登[うさみのぼる]  58 無新 

清水敏男[しみずとしお]  62 無元②


◆調査方法

 8月31、9月1の両日、いわき市の有権者を対象に、無作為に発生させた番号に電話をかけるオートコールと、JX通信社が提携するリサーチ会社の登録モニターにインターネットで調査した。電話は785人、インターネットは272人から回答を得た。


■「医師不足解消」が最多 最優先課題 「災害に強いまち」続く

 7日投開票のいわき市長選を前に、福島民報社とJX通信社(東京)が合同で実施した世論調査では、最優先で取り組むべき課題や投票する際に最も重視する観点などを聞いた。

 いわき市が最優先で取り組むべき課題についての回答は【グラフ①】の通り。「医師不足の解消・医療体制の充実」が24・1%で最も多かった。「災害に強いまちづくり」13・8%、「商工業振興・雇用創出」12・2%、「人口減少対策」11・6%と続いた。

 年代別で最も多かったのは、10代と40代から80代でいずれも「医師不足の解消・医療体制の充実」だった。20代は「中心市街地の活性化」、30代は「子育て・教育振興」が最多だった。

 性別で見ると、男性は「人口減少対策」、女性は「医師不足の解消・医療体制の充実」がトップだった。


■投票で最も重視する観点 「政策や主義・主張」43.2%

 投票する際に最も重視する観点は【グラフ②】の通り。

 「政策や主義・主張」が43・2%で圧倒的に多かった。男性は48・2%、女性は38・4%が選んだ。年代別で見ても全世代でトップとなった。

 「政治的な行動力」が14・8%、「地域社会へのこれまでの貢献度」が12・0%、「人柄や経歴」が9・8%で続いた。


■充実してほしい施設 「医療・福祉」47.6%

 市内にどのような施設が最も充実してほしいかの問いに対する回答は【グラフ③】の通り。

 最多は「医療・福祉施設」で、半数に迫る47・6%に上った。60代、70代、80代ではいずれも約60%が望み、40代、50代でもトップとなった。

 「大型商業施設」が11・7%、「大型遊技・娯楽施設」7・3%、「防災拠点施設」6・7%などと続いている。


■投票先の参考 「新聞」最多34.6%

 市長選の投票先を決める際に、最も参考にするメディアは「新聞」が34・6%で最多だった。

 「テレビ」が16・8%、「インターネット」が15・0%、「選挙公報」が10・2%、「SNS」が6・4%などと続いた。