南湖公園安全に散策を 12月から市道一方通行化 大河ゆかりで観光客増 福島県白河市

2025/09/06 11:03

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南湖公園で昨年行われた一方通行化の社会実験=昨年7月
南湖公園で昨年行われた一方通行化の社会実験=昨年7月

 福島県白河市の国史跡・名勝南湖公園の交通量増加を受け、市は敷地内を散策する市民や観光客を守る交通対策を強化する。12月から園内を通る市道を一方通行とし、来年度以降、遊歩道を設ける。将来的には一般車両の立ち入り禁止を検討している。白河藩主松平定信が登場しているNHK大河ドラマなどによって来場者が増加している中、安心して歩ける観光地を目指す。一方で交通規制によって近くの県道南湖公園線が渋滞するジレンマがある。


 鈴木和夫市長が5日、市役所で記者会見し、明らかにした。南湖北岸を通る市道は1車線。狭い道幅とは裏腹に国道289号の抜け道として使われている。時間帯によって異なるが、特に朝夕に交通量が集中している。

 1万円札の肖像となった渋沢栄一ゆかりの地として人気が高まり、さらにNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦[つた]重[じゅう]栄[えい]華[が]乃[の]夢[ゆめ]噺[ばなし]~」の効果が重なっている。昨年度、59万8250人が訪れ、今年度も県内外の行楽者が続々と足を運んでいる。園内には歩道が少なく、交通対策が喫緊の課題だった。

 12月1日から取り入れる一方通行区間は、園内の市道の大半を占める約650メートル。昨年7月から4カ月間、一方通行の社会実験を行い、歩行者の安全を確保できると確認した。市民らに対するアンケートも踏まえ、県道南湖公園線方面から通れるようにする。

 市は来年度以降、白河署など関係機関と連携し、外側線や規制標識などを設け、安全対策を施すとしている。

 市はこれまで、散策を楽しめる公園づくりに努めてきた。7月には公園の北東部園路に照明を取り付けた。夜の公園に明かりがともり、新たな付加価値を生み出している。

 市南湖係の冨田貴弘係長は「市内で最重要な観光スポットだ。地域ぐるみで公園を守っていく」と語った。


■付近の渋滞懸念 園内店従業員「緩和策も講じて」

 南湖公園周辺には、地域住民が通勤や買い物などの移動で使用する県道南湖公園線や国道289号、国道294号が通る。一方通行によって近くの道路の渋滞を懸念する声があり、園内にある店に勤務する男性は「渋滞緩和策も講じてほしい」と訴える。

 南湖神社や日本庭園「翠楽苑」の他、菓子店やカフェなどが立ち並ぶ。桜や紅葉など観光シーズンは県内外からの人で混雑し、車の流れが滞る。公園東側には大規模駐車場がある。駐車しようとする車が低速になり、さらに流れが悪くなる。男性は「日常生活に影響が出ないよう、誰もが気持ち良く通行できて安全かつ利便性の高い道路を検討してほしい」と求めた。


※南湖公園 寛政の改革で知られる白河藩主・松平定信が身分の差に関係なく誰もが楽しめる「士民共楽」という理念の下、1801(享和元)年に築造した。日本最古の公園といわれており、1924(大正13)年12月に国史跡・名勝に指定。昨年、指定から100年を迎えた。湖水面積17・7ヘクタール、周囲約2キロ。マツや奈良吉野の桜、京都嵐山のカエデが植えられており、四季折々の景色を楽しめる。