
福島県ハイテクプラザ会津若松技術支援センター(会津若松市)は、復活に向けて研究を続けてきた会津漆器「青光塗」の再現に成功した。あでやかな深緑色を、現代で入手可能な材料などを用いて表現した。今後は地元の職人にノウハウを還元し、普及につなげる。
江戸後期から明治、大正にかけ、深く渋みのある緑色が特徴の青漆製品が生み出された。会津地方では青漆を使った漆器を青光塗と呼んでいた。だが、材料が手に入りにくい上、漆器主流の黒や朱が多く好まれたため製作が衰退。職人の間で作業工程も受け継がれず、技術は途絶えた。
同センターのグループが2023(令和5)年度から研究に乗り出し、県立博物館などでの聞き取りや文献調査を進めた。その結果、会津木綿を藍染めするための藍と顔料の石黄を漆に混合したものが、会津地方の青漆の材料だと突き止めた。ただ、当時と同じ材料を入手するのは困難で、現代の素材を代用して新たに藍液を生成した。どのような発色になるのか試行錯誤を重ね、最適な分量とバランスを見つけ出した。
■19日に試作品紹介
今後は地域の職人に技術を伝え、商品化を目指す。試作品として平皿やおわんを作り、19日に同センターで開かれる「技術交流まつり」で紹介する。前任者から引き継ぎ、研究の中心となって取り組んだ佐藤佑香研究員(25)は「黒や朱だけではない漆の魅力を知ってほしい」と話している。