「四季の里」 初のリニューアル 食と遊びで集客強化 福島市が基本構想 空き物件解消へ

2025/09/12 10:53

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リニューアルが計画されている「四季の里」
リニューアルが計画されている「四季の里」

 福島市は、市内西部の市農村公園「四季の里」を初めてリニューアルする。11日、基本構想を市議会に示した。吾妻山麓の観光施設としての位置付けを高め、集客力を強化する。開園30年の経過とともに来園者数が年々落ち込み、テナントの空室も常態化していた。まずは3カ所の全空き物件の入居要件を緩和し、今年度内に事業者を募集する。2027(令和9)年度内のオープンを目指す。


 基本構想では、農産物の魅力を体感できる機会を定期的に取り入れ、地元食材をふんだんに使った食事が気軽に味わえる場を設ける。家族連れがゆったりと滞在できるよう、子どもの遊び場を充実させる方針。市は新規テナントの稼働状況を見ながら、より効果的な園内の施設整備を検討する。近郊の温泉、観光農園、酒蔵などへの周遊効果も見込んでいる。

 四季の里は広さ約8ヘクタール。市が保有し、維持・管理を指定管理者の市観光開発が担っている。農業と観光の振興を目的に1995(平成7)年7月に開園した。来園者数は翌年度の73万人をピークに減少傾向が続き、2024年度は23万人だった。近年になって、アサヒビール園が入居していたレストランや、そばを提供した「憩の館」が閉店。工芸館の一部も空きスペースが生じている。市によると、テナント使用に伴う市の税収は、満室時よりも年間当たり1200万円ほど落ち込んでいるという。

 リニューアルによって集客を強化できれば、周辺地域への波及効果が見込める。園内東側に酒蔵「四季の蔵」を構える金水晶酒造は、四季の里来園に合わせた来訪が多い。斎藤湧生社長(32)は「吾妻山麓の日本酒やワイン、ビールが味わえる施設ができれば、近隣の施設にも相乗効果が生まれる」と期待した。

 土湯温泉観光協会は観光客向け周遊プランの行き先の一つに四季の里を案内している。加藤貴之会長(49)は「観光の目玉になってほしい」と話した。市内のパート職員、阿部真美子さん(40)は「子どもと訪ねた工芸館が好きだったので、体験型の施設を増やしてほしい」と願った。


◆「四季の里」の主な歩み◆

1995年7月  開園

2015年5月  来園者1000万人達成

2023年10月 アサヒビール園が撤退

2024年3月  近隣に金水晶酒造「四季の蔵」が開所