
福島県須賀川市の大寺正晃市長は16日の定例会見で、2024(令和6)年度の財政調整基金残高が標準財政規模の適正値である約10%(約19億円)に満たない3億2700万円だったことを明らかにした。災害復旧や物価高騰などによる支出増を背景に、厳しさを増す市の財政状況が浮き彫りになった。
「貯金」に相当する市の財政調整基金残高は台風による洪水被害からの復旧事業への拠出や各事業経費の高騰により、2018(平成30)年度から年々減少している。2023年度から昨年度にかけて円安や物価高騰による経常費用の増額が要因で急減。現状が続けば、将来的に大規模災害や大幅な税収減などの対応が難しくなる可能性がある。
経常収支比率は市の歳出と歳入のバランスを示しており、一般的に90%未満が適正とされる。須賀川市は2018年度から全国平均を上回っている。2021(令和3)年度は国からの普通交付税が増額したため91・9%まで回復したが、人件費や老朽化した公共施設の維持費など経常費用の増額によって昨年度までに約10ポイント上昇。昨年度は経常的な歳出が歳入を上回り、101・2%となった。
大寺市長は厳しい財政状況に対し、事務事業見直しや公共施設マネジメントの推進、収入の確保・拡大などを盛り込んだ集中改革プランを進める考えを強調。「財政調整基金残高の確保と経常収支比率の改善に努める」と訴えた。
(県南版)