論説

【旧喜多方東高跡地】利活用を迅速に(9月19日)

2025/09/19 09:18

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 喜多方市の旧喜多方東高跡地の利活用に注目が集まっている。市が県、県教委と結んだ協定で、2029(令和11)年4月の譲渡が決まり、商業施設などの整備案が浮上している。市は9月補正予算案に、整備に向けた基本計画策定などの費用として、2060万円を計上した。可決後、策定計画づくりに着手する見通しで、動きが本格化する。目標に掲げる「公民連携で創り出す新たなまちの魅力と喜多方の未来」を実現する迅速な整備を望みたい。

 JR喜多方駅の北東約1キロに位置し、会津縦貫道からも約1・5キロの場所にある。跡地の面積は約3・2ヘクタール。周りは県道や都市計画道路に囲まれている。交通アクセスが良く、スーパーやドラッグストア、医療機関などが立ち並ぶ恵まれた立地条件にある。協定によると、県教委が校舎や体育館など建物の解体費用を負担した上で、土地を市に無償譲渡する。市は更地となった状態で取得することができる。市総合計画や関連する各種計画、施策との整合性を図りながら、跡地の利活用は進められる。

 現在、市は行政と民間が連携した整備方法を模索している。これまで実施した民間事業者などとの意見交換を踏まえ、商業施設を中心とした複合施設を有力候補に挙げた。周辺施設と合わせて、市民生活の充実を図るとしている。跡地の北側には、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている小田付地区が広がる。風情ある町並みは観光名所の一つで、回遊性を高める機能を新たな施設に持たせれば、さらなる誘客が見込めるだろう。

 整備に向けては、スピード感も求められる。民間事業者との意見交換で、建物撤去の時期が遅れた場合、建築コスト上昇などのリスクが大きくなるとの指摘が出た。早期に更地にするよう求める声に応える必要があるだろう。経済情勢の変化が大きい昨今の状況を考慮しながら、整備工程を早急に明示し、事業者側の理解を得ていくべきだ。

 魅力あふれる施設の存在は、若い世代の地元定着にもつながるはず。市の「玄関口」ともされる場所に誕生するのが、市全体の活性化や産業振興、にぎわい創出などにつながる新拠点となるよう期待したい。(石井賢二)