
第70回全国こけし祭りのコンクールで、福島県いわき市のこけし工人佐藤誠孝[せいこう]さん(78)の作品「大野栄治型直胴梅」が厚生労働大臣賞を受けた。こけしの伝統継承や弟子育成に貢献してきた工人の作品を対象に、5年に1度だけ贈られる特別な賞で、佐藤さんは「来年で父が工房を開いて100年となる。わが家の歴史を表彰されたようで誇らしい」と喜んだ。
日本三大こけしコンクールの一つで、6、7の両日に宮城県大崎市の鳴子温泉郷で開かれた。佐藤さんは50年以上にわたって磨かれた木地技術やしっかりとした描彩力などが高い評価を受けた。妻美喜子さん(70)、長男英之さん(48)、次男裕介さん(43)を弟子として育成し、一家でこけしの継承に努めている点も加味された。裕介さんの作品も東日本放送賞を受けた。
佐藤さんの父誠さんが「弥次郎系こけし」の産地の宮城県白石市で修業。1926(大正15)年に広野町で工房を開き、翌年にいわき市に移転した。佐藤さんは誠さんを含む5人の師匠から技術を受け継ぎ、70種以上のこけしを作っている。一家で「木地処さとう」を営み、市内平塩と市内小川町に工房を構えている。佐藤さんは「受賞を励みに、次世代の育成に力を入れていきたい」と語った。
この他の県内の受賞者は次の通り。
▽青森県知事賞=陳野原幸紀(福島)▽NHK仙台放送局長賞=瀬谷幸治(猪苗代)▽鳴子温泉郷観光協会長賞=太田孝淳(福島)柿崎文雄(猪苗代)▽審査委員奨励賞=小林澄子(猪苗代)