ラーメン探訪in県南 「手打中華 餐」福島県石川町 師匠から受け継いだ味を未来へ

2025/09/19 16:35

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店の前で写真に納まる初代の三森さんと2代目の畠山さん(右)
店の前で写真に納まる初代の三森さんと2代目の畠山さん(右)
店で提供している醤油チャーシューメン(税込み1280円)
店で提供している醤油チャーシューメン(税込み1280円)

 田園地帯が広がる福島県石川町の一角、古くからの街道沿いにある店で、のどかな風景に似合わない人の列ができている。休日昼間の「手打中華 餐」には県外ナンバーの車がずらり。来年で創業30年を迎える白河ラーメンの有名店だ。

 紫色ののれんをくぐると、厨房で2代目店主の畠山卓さん(34)が麺の湯切りをしている。注文したのは「醤油チャーシューメン」。もっちりした手打ち麺にしょうゆのキレと鶏油の甘みが利いたスープが絡む。チャーシューは白河ラーメンらしくモモ肉とバラ肉、カブリがぜいたくに使われている。

 白河市の名店「とら食堂」で修業した初代の三森良雄さん(77)が1996(平成8)年に開店。畠山さんは叔母が働いていた縁で5歳頃から店に通っていた。小学生の頃、ラーメンを無料で食べさせる代わりに「麺打ちを手伝え」と言われ、三森さんと一緒に麺を打った記憶が原体験として残っている。

 思春期はバンド活動やバイクにはまり、高卒後に専門学校を経てバイク整備士に。20歳で浜松市のバイクショップに就職したが、「うまく言えない違和感があった」。そんな時によみがえってきたのが、慣れ親しんだ餐の味だった。

 22歳で退職し、三森さんに弟子入りした。「3年、修業を頑張れ。そしたら店を譲る」と言われ、技術習得に打ち込んだ。今の味も、「親方」から教わった基本を忠実にこなすから出せる。「受け継いだ味を後世に伝えていくのが一つの目標」という。

 同時に新しい挑戦も続ける。お土産ラーメンの開発に携わり、去年はJR磐城石川駅前に分店を開店した。ラーメンを通じて地域に人を呼び込み、「過疎が進む地元を活性化したい」との思いからだ。

 食事を終えて畠山さんの話を聞いていると、初代の三森さんが偶然、店を訪れた。「親方と2ショット撮ったこと無いんで、いいですか」と畠山さん。店の歴史を感じる一杯になった。


■MEMO

★住所 石川町形見大工内161

★営業時間 午前11時~午後2時30分※材料が無くなり次第終了

★定休日 水曜日(火曜日に不定休あり)

★電話番号 0247(26)0511

(県南版)