
福島県会津美里町新鶴地区のワインブドウ根岸生産組合は今年、創立50周年を迎えた。1975(昭和50)年8月に設立して以来、おいしいワインブドウ栽培に励んできた。10月25、26日の両日、同町で開かれる「会津美里ワインフェス」では50年の節目を祝い、新鶴産のブドウを使ったワインの魅力をPRする。
新鶴地区はかつてオタネニンジンの栽培地として栄えたが、外国産の薬用ニンジンの輸入に押され、休耕地が増えていった。昼夜の寒暖差が大きく、水はけが良い丘陵地はブドウ栽培に適していたため、休耕地を活用した挑戦が始まった。
当初はブドウの品種が雨に弱く、収穫直前に腐ってしまうなど安定した収量が得られなかった。ニンジン栽培で使っていたパイプを雨よけなどに活用するなど試行錯誤を重ね、病気が減って品質も向上した。栽培契約を結ぶ酒造メーカー「メルシャン」の営農指導を受けながら、安定生産を実現している。糖度が高く、生でも食べられる新鶴のブドウを使ったワインは評判を呼び、国際線のファーストクラスでも提供された。
ワインフェスでは26日、日本を代表するワイン醸造家安蔵光弘さんと、根岸生産組合の五十嵐新一組合長ら会員がトークセッションを行う。品質の高いワインブドウづくりに取り組んできた組合の半世紀の歩みを振り返るとともに、新鶴産ブドウの特長を語り合う。