福島県伊達市ゆかりの江戸川乱歩 保原RCと池袋西RCが友好協約延長 「縁を大切にしていきたい」

2025/09/24 16:51

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旧江戸川乱歩邸で祖父の自伝「探偵小説四十年」を手に取る憲太郎さん
旧江戸川乱歩邸で祖父の自伝「探偵小説四十年」を手に取る憲太郎さん

 福島県の保原ロータリークラブ(RC)と東京池袋西RCは2003(平成15)年に友好クラブ協約を結び、現在も絆を強めている。江戸川乱歩(本名・平井太郎)が終戦直前の1945(昭和20)年に保原町(現・伊達市)に疎開していた縁。乱歩の孫で池袋西RC会員の憲太郎さん(74)は戦後80年を迎え「疎開先で祖父たちがつないだ縁を大切にしていきたい」と思いを強くする。

 憲太郎さんが14歳の時に乱歩が脳出血でこの世を去ったため、直接疎開や戦争の話しを聞いたことはなかった。のちに、祖母・隆さんの話しや乱歩が書いた本を読んで詳しく知った。乱歩の自伝「探偵小説四十年」では知人の紹介で疎開先に保原町を選んだことや、町の売薬業者住宅の2階を借り、家族と生活していたことなどが地元の話題が詳細に描かれている。憲太郎さんは「祖父ら家族は保原の人たちにすごく感謝していると思う」と笑顔を見せた。

 町内の陣屋通りには保原RCが乱歩の足跡をたたえ建立した記念碑がある。憲太郎さんも何度も伊達市に足を運んで交流を深め、今年4月、友好協約を5年間延長にした。

 空襲で焼失を免れた乱歩邸は現在、立教大の敷地内にあり「旧江戸川乱歩邸」として後世に歴史を伝えている。平井さんは祖父の自伝を手に「戦争の話を継承する人が減っている。RCの活動や先人が残した作品を通し、若い世代に戦争を知ってもらうきっかけになれば」と言葉に力をこめた。

 保原RCに37年在籍する中野新一さん(83)は「乱歩や疎開していたことを知らない人も多い。市や地域団体と協力して功績を伝えていきたい」と展望を語った。

(県北版)